将棋アプリの「ひよこ」と対戦するのが第一歩

テレビ・ネット中継なども盛んに行われ、広く人々の知的好奇心を刺激する頭脳ゲーム、将棋。先読みや判断力が求められる将棋は、思考力を鍛える抜群のトレーニングにもなります。この連載では、「将棋のルールは知っているけれど、どう指したらいいかわからない」「観戦は好きだけれど、自分では指せない」という人に向けて、プロ棋士の遠山雄亮さんが将棋の基本的な考え方を教えます。全8回にわたってお届けしていきます。(毎週火曜日更新)

将棋のルールは30分で覚えられる

「将棋って難しいですよね、私には無理かも……」
将棋を指しますか? と聞いた時に言われがちな言葉です。
今回の連載での打ち合わせで担当編集者にも言われました(苦笑)。
「難しい」ことで将棋が敬遠されている、そんな気がします。
将棋の何が「難しい」のでしょうか?

まずはこの「難しい」の謎を解いていきます。
「頭のいい人がやるゲーム」という印象が「難しい」と感じさせるのでしょうか。 羽生善治九段や藤井聡太七段の顔を思い浮かべての言葉なのでしょう。確かに頭の良さそうな顔をしています、同業者の私でもそう思います(笑)。
プロの将棋は確かに難解です。将棋というゲームは深く広く、コンピュータでも容易に解明できません。私もいつも頭を巡らせながら将棋と向き合っています。
でも、プロの料理人が素晴らしい料理を作るからといって、「料理は難しい」とは聞いたことがありません。プロの技がどんなに複雑で難解であっても、その対象を「難しい」とは言わないでしょう。

ではゲームのルールが「難しい」のでしょうか。 相手の王様を取れば勝ちということと、8種類の駒の動きと価値を理解できればすぐにゲームをはじめられます。
ルールを覚えることに関しては、実体験として、大人と子どもでは大きな差があります。しかしそれは、みなさんが思われていることの真逆で、なんと大人のほうが子どもより覚えるのが早いのです。大人なら30分で覚えられますが、子どもは倍以上の時間が必要です。

「将棋は難しい」の正体

駒の種類も多くない、動かし方も並べ方も覚えるのは難しくない。 では「将棋は難しい」の正体はなんなのか。それは、「さあ将棋の対局だ、となったときにまず何の駒を動かせばいいのかわからない」「どうやってゲームを進めていくのかわからない」という言葉に集約されるかもしれません。

つまり、自由度が高すぎるのが将棋を「難しい」と感じさせる要因なのではないでしょうか
昨今のスマホゲームはある地点を連打するといった形で、直感的にプレイできます。でも将棋は、駒の種類や動かし方がわかっても、どう動かしていいのか直感的にわかりにくく、そのわかりにくさがとっつきにくさを生んでいるのだと思います。

この連載では、皆さんが感じる「難しい」を解消するお手伝いをしていきます。 「子どもは頭が柔らかいけど自分はもう頭がカチカチで」は大人の常套句です。でもルールを覚えるのと同様で、上達のスピードも大人のほうが間違いなく早いです。これは多くの初心者を見てきた私の実感です。

まずは皆さんが感じる「難しい」を解消するよう、どう駒を動かせばいいのか、どうすれば勝てるのか、そういったことを解説します。
最終的には級でいえば、5級を目指していきます。読み進めるうちに、あれ、将棋って全然難しくないじゃん、そう思っていただけるはずです。最終的には将棋のもつ自由度を前向きに捉えてもらえれば嬉しいです。

観戦専門のいわゆる「観る将」の方も、自分で指せるようになると観戦の楽しみは倍増します。ぜひ「指す将棋ファン」略して「指す将」を目指していただけたらと思います(将棋のルールがわからないという方は、この連載を読み進める前に、「将棋 ルール」などでweb検索してみてください。わかりやすく解説したページがたくさん出てきますので、30分もあれば覚えられます)。

家族や友人と対戦するのはNG

ここで読者の方に一つお願いがあります。
連載を読んでいると、誰かと対戦したくなってくると思います。
家族や友人に将棋経験者がいれば、快く相手をしてくれるでしょう。しかし彼らに挑んではいけません。
必ずや返り討ちに遭い、将棋が嫌いになってしまうかもしれません。それはとても悲しいことです。

では将棋を指したくなったらどうすればいいのか? そこで登場するのがAIです。
またの名前を「ひよこ」と言います。

かわいい「ひよこ」と対局する将棋アプリ。40段階の本格AIで初心者から有段者まで楽しめます(最高レベルはアマ四〜五段)。将棋盤として2人での対局や、対局後の検討機能や棋譜管理機能も充実しています。

アプリをダウンロードしたら、まずは「レベル1ひよこ」と対戦してみましょう。ルールを覚えたての方であれば、手合を「【入門向け】王vs飛角Lv1」で対戦するのがオススメです。


アプリのトップページで「対局開始」を選択し、手合を「【入門向け】王vs飛角Lv1」にする

勝てたら一つずつレベルを上げていきます。【入門向け】王vs飛車角Lv4をクリアしたら、10枚落ち[※]に進んでください。
[※]相手の駒数を減らしてハンディキャップをつけることを「駒落ち」といい、「10枚落ち」「9枚落ち」〜「2枚落ち」「飛香落ち」などがある。10枚落ちの場合は、相手の駒は「歩」と「王将」のみとなる。

ひよこと指す際に、負けるまで指す必要はありません。特に飛車や角を取られたら迷わず『待った』をしましょう。
飛車や角を取られると、攻めの威力は大幅ダウン、相手の反撃も強力になり、勝機が遠のきます。なお『待った』は人との対戦ではご法度とされていますが、相手はひよこですから遠慮なく使いましょう。

ひよこになかなか勝てない方は、私のYOUTUBEチャンネルを参考にしてみてください。

ひよこは動画通りにはきませんが、勝つコツをしっかりつかめば必ず勝てるはずです。
相手より多くの駒を持っているんです。自信を持っていきましょう!

将棋の本質は「玉を取る」こと

一つだけアドバイスを。
将棋の本質は「玉を取る」ことです。
ただし交互に指すので、相手がぼーっとしていないかぎり「玉を取る」ことはできません。
次に取るぞ、という手を指しても、気づかれると逃げられるからです。
そこで「玉をつかまえる」意識を持ちましょう。
先ほど飛車や角を取られたら、という話をしましたが、玉をつかまえるときだけは例外です。飛車を取られても玉を取れば「勝ち」なのです。
たとえばこの場面。

竜を玉で取られてしまいそうです。
しかしもし竜を玉で取られたとしても、馬で取り返せます。
玉を取ればゲーム終了ですから、相手は竜を取れないのです。
これが「玉をつかまえる」ことなのです。ここに将棋の本質があります。
頑張ってひよこの玉をつかまえてください!

それでは第2回までにぴよ将棋でひよこと対戦してみてください! ルールを覚えたての方は、まずは9枚落ちでひよこに勝てるように頑張りましょう。
少し腕に覚えのある方は、8枚落ちにチャレンジしてください。勝ったら手合割は変えず、ひよこのレベルを上げていきましょう。
ひよこに勝つことが「指す将」への第一歩です!

次回は8枚落ちの攻略法を解説します。応用編では、将棋の基本戦法で、あの加藤一二三九段も愛用した「棒銀戦法」を紹介します。将棋の基礎となる、序盤、中盤、終盤についてや、駒の個性についても取り上げます。

<まとめ>
●将棋の「難しさ」の正体は、どう駒を動かせばいいのかわからないということ。この連載では駒の動かし方を解説し、最終的に5級を目指す
●将棋を指したくなったら、経験者と対戦するのではなく、将棋アプリ「ぴよ将棋」を使おう
●将棋の本質は「玉を取る」こと。それを意識して、ぴよ将棋のレベルを上げていこう

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この連載について

大人の教養としての将棋入門

遠山雄亮

テレビ・ネット中継なども盛んに行われ、広く人々の知的好奇心を刺激する頭脳ゲーム、将棋。先読みや判断力が求められる将棋は、思考力を鍛える抜群のトレーニングにもなります。この連載では、「将棋のルールは知っているけれど、どう指したらいいかわ...もっと読む

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コメント

TAC000 自由度の高さが難しさ。 どのゲームもそんなところあるね。 17日前 replyretweetfavorite

richard_raw やってみるかー。 / 他8件のコメント https://t.co/t9tNpzdd3T 18日前 replyretweetfavorite

Echuiriel やってみたけどこれは楽しい! 18日前 replyretweetfavorite

_bbe2f1 遠山先生、ウェブで積極的に初心者支援してくださってありがたいです🙏こちらも連載楽しみです😊 18日前 replyretweetfavorite