※ 『週刊ダイヤモンド』2019年6月15日号より転載(肩書・数値などは掲載当時)
日本生命保険の節税保険「プラチナフェニックス」が登場したのは、今から2年以上前の2017年4月のこと。支払った保険料の全額を経費として損金算入できる商品を、最大手が投入したとあって業界が一気に色めき立ち、これに続けとばかりに全損型商品が市場に広がっていった。
法人税をそのまま支払った場合と比べた実質返戻率は、商品によっては130%超にも上る。そのため、中小企業がまさに飛び付くように契約書にサインしていったわけだ。
一方で節税保険は、保険会社にとっては決して利益率の良い商品ではなかった。時に年換算保険料の60%前後を手数料として代理店に支払うため、費差益のマイナス幅がかなり大きいのだ。
それでも各社が商品を投入し、目の色を変えて販売したのは、トップラインに多大な貢献があることに加えて、銀行や税理士代理店、その向こう側にいる中小企業との取引拡大につながると判断したからだった。
その「宴」は2年も持たずに終わりを告げ、国税庁の税務ルールの見直しによって、保険料の全額を損金算入できるのは、単純返戻率で50%以下の商品ということになってしまった。
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