2018年10月、東京都世田谷区の企業主導型保育施設「こどもの杜」の2園で、給与未払いを理由に保育士など職員18人全員が一斉に退職し、休園に追い込まれる事件が起きた。
Photo:kyodonews
同園は各園にロボットを取り入れた独自保育をうたい、企業主導型で新規参入した事業者の保育施設だ。一斉退職のあった2園は4月に開園したばかりの新設園で、園児がいたにもかかわらず、6カ月で休園に至った。経営者は、国からの助成金の入金が遅れたことを原因に挙げたが、経営者はもともと保育業界の人間ではなく、保育士の退職も頻繁に行われ、運営のずさんさも指摘されている。
ただ、助成金の遅れについては、関係者が皆、口をそろえて不安を述べる。
「今年4月に新園を開園予定なのに、まだ助成決定の連絡が来ない」。そう焦るのは、都内で企業主導型保育施設を営む園長だ。(編注:本記事は『週刊ダイヤモンド』昨年2月2日号に掲載したものです)
2016年に現在運営している園の申請をしたときは、17年1月に助成が決定されたものの、助成金が全て入金されたのは17年10月末のことだった。今年は内々定こそ出ているものの、助成決定の連絡そのものが遅れているという。助成金が出るまで運営費や施設費は自分で立て替えねばならない。その間に資金繰りに支障を来す園もあるようだ。
一体なぜ、企業主導型保育施設をめぐってトラブルが多発しているのだろうか。
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