思わずHELP MEしたくなったシェアハウス住人拉致事件

海猫沢めろんさんがゆるふわと送る、マンガ書評×日常エッセイ連載。今回は、海猫沢さんが管理人を務めるシェアハウスで起きた衝撃的な事件について日記風につづられます。事件のなかでかかわった弁護士に絶望した海猫沢さんが、すがったマンガとは? マンガよりもマンガみたいな、海猫沢さんの日常から目が離せません。

一ヶ月ぶりのご無沙汰、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

夏もそろそろ終わりに近づき、秋の気配も感じられる今日この頃ですが、前回の原稿を書いてからウチでは相変わらずいろいろな事件が起きております。

今回はそんなとある事件を日記風に記録しつつ漫画を紹介しようと思います。

題して「うちのシェアハウスの住人が拉致られて帰ってこないから部屋を掃除したらペットボトルからおしっこがでてきたニョ〜!」です。どうぞ。

◎7月某日

昼食でも食べようと居間へ行くと、離れに住むTくんが『ナニワ金融道』の文庫版を読んでいた。

「久しぶり。最近見かけなかったけど、どうしたの?」

「仕事がいろいろと忙しくて大変で……」

Tくんは友人の紹介でこのシェアハウスにやってきたのだが、住人のなかでいちばん若く、たしか24か25歳。仕事はバーやネットショップの経営だが、最近は不況のせいで厳しいという話をきいていた。確かに、警備会社のバイトでよく家を空けることが多い。

……会社経営しつつバイトもしなきゃいけないとは、世の中は大変だ。

ぼくが冷蔵庫から豆乳パックをとりだして口を付けたそのときだった。

「ごめんくださ〜い。Tく〜ん」

「あ……ちょ、ちょっとまってくださいね……はい」

Tくんがあわてて離れのほうに戻る。なんだろう? これは……怪しい。実は、最近怪しげなチャラい兄ちゃんがTくんをたずねて家にきたのである。さては……サラ金でつまんじゃったかな? 離れを見ると、靴脱ぎにぴかぴかの革靴が二足。いよいよヤバそうだ。ぼくは隣の部屋で聞き耳を立てることにした。

(荷物はいらないから。すぐにいくから。たばこ吸うか?)
(……い、いつ帰ってこられるんですか)
(わからない。いいからはやく)
(そんな……)

おいおいこれはシャレになってないぞ。さっそく助けに行こうと、ぼくは颯爽とTくんの部屋のドアを開けた。

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海猫沢めろん

作家の海猫沢めろんさんが、谷根千での暮らしを綴るとともに、日々読んだマンガを紹介する月イチ連載。小説の執筆からアイドルの曲の作詞まで、縦横無尽に活躍する海猫沢さんのセレクトは、次に何がとびだすかわからない幅広さ。手に取って読めば、新し...もっと読む

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