コンビニ地獄

つまずいた小売業界の“優等生” コンビニは変われるのか

「経営者時代、わたしは社員たちにも、『仮説』を立てて、挑戦することを求めてきました。仮説とは、まさに、跳ぶ発想のなかからうかびあがるものだからです」──。

セブン-イレブン・ジャパン(SEJ)を事実上創業し、日本のコンビニエンスストアの“生みの親”とも称される鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問は、自身の著書『わがセブン秘録』(プレジデント社)で、こう記している。

 米国で見つけたコンビニという業態を日本流に“移植”。総合スーパー(GMS)全盛だった1970年代、「小型店は成り立たない」と批判を浴びながらのスタートだった。

 その後、店頭でのおにぎりや弁当の販売、24時間営業、銀行業への参入、「金の食パン」に代表される“割高でも付加価値のある”プライベートブランド商品「セブンプレミアム」の開発……。

 社会や消費者の変化に敏感に反応し「仮説」を立て、「過去の延長線上ではなく、未来へとジャンプ」(同著)する。この発想で、あらゆる“便利”を具現化することが、多彩な商品・サービスの開発や店舗網拡大へとつながる、SEJ成長の原動力だった。

 やがて、百貨店やGMSを傘下に持つ巨大小売りグループを築き上げるまでに至るサクセスストーリーは、コンビニが小売業界の主役に上り詰めた象徴として、さまざまな場面で語られてきた。

 ところが、社会の変化は、鈴木氏が感じていたよりもはるかに急激に進んでいた。

 少子化という人口構造の絶対的な制約から、店舗を支える働き手の減少は、大胆な移民政策でもない限り解消する見込みはない。

 にもかかわらず、鈴木氏がつくり出した、店舗の人件費の負担を加盟店に押し付け、本部が粗利からロイヤルティーを吸い上げる方式は、ほとんど見直されることがなかった。

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週刊ダイヤモンド 2019年6/1号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2019-05-27

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「開いててよかった」のキャッチコピーで約40年前に誕生したコンビニ。今や全国5.5万店、11兆円市場へと膨れ上がった。急成長の裏側で、現場を支える加盟店の負担は限界に達し、24時間営業の見直しが迫られている。コンビニ業界が抱える構造的...もっと読む

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