米国で見つけたコンビニという業態を日本流に“移植”。総合スーパー(GMS)全盛だった1970年代、「小型店は成り立たない」と批判を浴びながらのスタートだった。
その後、店頭でのおにぎりや弁当の販売、24時間営業、銀行業への参入、「金の食パン」に代表される“割高でも付加価値のある”プライベートブランド商品「セブンプレミアム」の開発……。
社会や消費者の変化に敏感に反応し「仮説」を立て、「過去の延長線上ではなく、未来へとジャンプ」(同著)する。この発想で、あらゆる“便利”を具現化することが、多彩な商品・サービスの開発や店舗網拡大へとつながる、SEJ成長の原動力だった。
やがて、百貨店やGMSを傘下に持つ巨大小売りグループを築き上げるまでに至るサクセスストーリーは、コンビニが小売業界の主役に上り詰めた象徴として、さまざまな場面で語られてきた。
ところが、社会の変化は、鈴木氏が感じていたよりもはるかに急激に進んでいた。
少子化という人口構造の絶対的な制約から、店舗を支える働き手の減少は、大胆な移民政策でもない限り解消する見込みはない。
にもかかわらず、鈴木氏がつくり出した、店舗の人件費の負担を加盟店に押し付け、本部が粗利からロイヤルティーを吸い上げる方式は、ほとんど見直されることがなかった。
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