ホワイト企業」にご用心?

「ブラック企業」という言葉が多くの方に認知されるようになり、この9月には厚労省が実態調査を実施すると発表しました。ブラック・ホワイトと企業が色づけされ、「ブラック=悪い」「ホワイト=良い」という固定観念ができている昨今の社会。しかし問題なのは、そこで働く人々の価値観だと川上さんは言います。

厚生労働省が、社員の離職率が異様に高かったり、長時間労働や残業代不払いで労働基準法違反していたりする疑いのある、いわゆる「ブラック企業」に対して、9月から約1ヶ月かけて全国で実態調査に入ることが、先日発表されました。

この、「ブラック企業」という言葉は、「法律的な無知につけ込んだり心理的な拘束をかけて従業員を搾取する会社」「組織的な不正行為を従業員におしつける会社」という意味の、2000年代前半に生まれたネットスラングです。

2008年に2ちゃんねるの書き込みが元になって書籍化・映画化された「ブラック企業に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」あたりから、このスラングが世間一般に認知されるようになったのではなかったかと思いますが、それ以前にもネット上では組織内のパワハラや下請けいじめといった現代企業の幅広い非人間性を指す言葉としても使われており、単純な労働法規違反に留まらない、現代社会の企業や「働く」こと自体に対する不満全般のはけ口として生まれてきた言葉でした。

なので、「厚生労働省が実態調査に入り、問題企業には書類送検や社名公表も」という報道を見て、「ブラック企業って、行政が指導して何とかなるような話だったっけ?」という、強烈な違和感を感じているところです。

しかし、自民党の参院選の公約にもなりかけたほどのテーマだっただけに、厚労省としても実態調査ぐらいやったふりをしなければ、さすがに政治家に対して申し訳が立たないと考えたのでしょう。

ブラック企業が自然淘汰されないのはなぜか?

「ブラック企業」が法的な問題だけでなく、マネジメントの質や組織文化などに起因する問題を含むものであるにもかかわらず、厚労省が出てくるというのもおかしな話だと思いますが、最近私が感じていた違和感はそれだけではありません。

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グロービス・マネジメント・スクールでマーケティングを教える川上慎市郎さんが、若手ビジネスパーソン向けに、マーケティング、メディア、そして教育について、深くやさしく解説をします。かつて有名ブログ「R30::マーケティング社会時評」を運営...もっと読む

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コメント

R30 ブラック企業の法令違反は確かに問題。でもそれ以上に能力開発の動機と機会を失わせる浄化された職場ってどうなのよ?という。~ 5年弱前 replyretweetfavorite

yanabo 「ブラック企業」という曖昧な言葉を乱発して溜飲を下げることの危うさ。官庁までが乗っかった危うさ。その危うさを明確に解説。誰もが楽をする社会は幸せか〜 5年弱前 replyretweetfavorite

tommynovember7 自分なら体調や家庭事情にあわせて定期的に転職する。自力で組織を変えるのは、死ぬほど面倒なわりにさっぱり報われないもの。/【第24回】 5年弱前 replyretweetfavorite

sadaaki 川上慎市郎さんのブラック企業、ホワイト企業の話、超納得です。むちゃくちゃ働きたいひとも、そうでないひとも両方満足できるようにしないとですよね。【第24回】 5年弱前 replyretweetfavorite