深沢真太郎
恋愛のメリット
数学と将棋以外に興味を持たない詩織に対し、「知的じゃない遊び心」の大切さを説く翔太。心当たりを探っていくうち、ついに「禁断の質問」を口にしてしまう詩織。
ここから、物語はさらに新たな展開を迎えます!
8
「ところで、先ほどの質問ですが」
「ん?」
「〝いまの女子高生ってどんな遊びすんの?〟という質問です。私は日本の女子高生が何をして遊んでいるかは知りませんし、興味もありません。私にとっては、ここまでお話ししたような数学的な工夫を考えることが何よりも楽しい〝遊び〟なのです」
「言ってる意味がよく……」
「〝工夫とは、知的な遊び心の発露である〟私なりの『工夫』という概念の定義です」
遊び心。翔太はその言葉をこれまでは多分に〝ふざける〟というニュアンスで捉えていた。その考え方でこれまで生きてきた。真面目なだけではつまらない。少しくらい〝ふざける〟方が人間関係も円滑になるし、世の中をうまく渡っていける。その価値観はいまも変わらない。しかし、その遊び心という概念に違う意味づけをする女子高生がいた。翔太はもう少しこの話を深めたくなっていた。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
人気の連載
-
フェルディナント・ヤマグチ
-
林伸次
-
May_Roma
28426
false
この連載について
深沢真太郎
ビジネス数学教育家・深沢真太郎が満を持して書き下ろした、青春数学自己啓発小説!
「私たち若者に、間違ったことを教えないでくださいーー。」
ひょんなことから母校の高校で卒業生講演会に招かれた29歳のド文系ホテルマン...もっと読む
著者プロフィール
ビジネス数学教育家
BMコンサルティング株式会社代表取締役
一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事
幼少の頃から数学に没頭する。
日本大学大学院総合基礎科学研究科修了後、予備校の数学講師となるも自らの指導理念との齟齬を感じ、わずか半年で退職。いきなりの挫折に一発奮起し、自ら“真逆の世界"と定義するファッション業界に飛び込むことを決意。大手外資系アパレル販売員としてキャリアをスタートし、ごく普通のサラリーマンをゼロから経験した。その後、数字を使った論理的な仕事が認められ、管理職として活躍。やがて「数学でビジネスパーソンを救う仕事」が今後の自分の使命と決意。
2011年、かつての数学教育者とサラリーマン経験の2つの キャリアを掛け算した「ビジネス数学」を提唱し、研修講師として 独立。その分野では唯一の専門家として、のべ7,000人以上の文系ビジネスパーソンを劇的に変えてきた。その懇切丁寧な指導法は「史上最強にわかりやすい」と好評。担当研修のリピート率は100%を誇る。
多摩大学で教鞭をとるかたわら、2017年一般社団法人日本ビジネス 数学協会を設立。ビジネス数学指導者の育成に携わる。
著作は国内で累計13万部超。一部は翻訳され、多くの海外ビジネスパーソンに読まれている。特に、文系向けにビジネス数学をストーリー仕立てにした「数学女子智香」シリーズと『そもそも「論理的 に考える」って何から始めればいいの?』」の三作は、国内累計5万部超のベストセラーとなっている。今回は、著者初の「数学的・青春自己啓発小説」となる。