数学で心がときめく、ということ

母校での講演会で何気なく口にした「要領がいい」ということを具体的に数学で体感し、感動する翔太。そこには、翔太の理解を引き出す詩織の絶妙な言葉のセンスがあったのです。

6

「では最後に④。キーワードは〝ずらす〟です」

「〝ずらす〟ことで工夫が生まれる……のか?」

もちろん〝ずらす〟という言葉の意味は知っている。しかしそれがなぜ工夫につながるのか、まだ翔太にはピンときていない。詩織は数列の授業を続ける。

「ではまた数列の話に戻ります。今度は、1から始まって2倍ずつ増えていく数列」

「2倍? えっと、1、2、4、8、16、……」

「そうです。では8番目までを全部足した、1+2+4+8+16+32+64+128はいくつでしょうか?」

「ちょ、ちょっと待て。暗算はちとキツいな……」

「ここは正攻法ではなく、いきなり工夫を試みるべきです。繰り返しますが、キーワードは〝ずらす〟です」

解き方を教えてしまっては意味がない。できれば自分で気づいてほしい。詩織はそう思い、じっと待つ。

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論理ガール -人生がときめく数学的思考のモノガタリ-

深沢真太郎

ビジネス数学教育家・深沢真太郎が満を持して書き下ろした、青春数学自己啓発小説! 「私たち若者に、間違ったことを教えないでくださいーー。」 ひょんなことから母校の高校で卒業生講演会に招かれた29歳のド文系ホテルマン...もっと読む

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shinchan0922 私が数学を愛した理由。 #論理ガール #桜井詩織 #小説 #cakes 7ヶ月前 replyretweetfavorite