性への可能性を狭めているのは、自分かもしれない

小説家の森美樹さんが自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する日々を綴るこの連載。以前、AV監督が綴った本の読書会に参加した森さんですが、その読書会の第2回が開催されたのだそう。そこで女性自身の快感を得る呼吸法を習った森さんは、どんなことを感じたのでしょうか?

いったいいつになったら、性の話が気軽にできるようになるのだろう。未だに「自分の女性器は見るものではないし、さわるものでもない」と母親から注意される子供がいるらしい。私自身は母親から、「ここも大事な部分だから、きれいにしておくのよ」とお風呂で教育された。まあ、妥当な線だと思う。少なくとも「汚らわしい場所」という刷り込みはされなかったのは幸運だった。

欲望は押し込められてもいずれ爆発する

今やインターネットであらゆる事柄が検索できる。セックスや女性器について、いくらでも知れる世の中だ。そうは言っても親からの植えつけは相当なもので、頭の根底には残ってしまう。私も父親のしつけはかなり厳しかったし、当然性に関しては輪をかけてナーバスになっていた。

しかし本能的な欲望を押し込めるなんて土台無理な話、いずれ爆発する。これは勿論、私に限ってではない。だが前述したように、親からの植えつけは頭の根底に残ってしまう。このギャップに、私達は苦しめられるのだ。

そういったトラップや、肉体面のみならず欲望に対する心理面に興味があって手に取った本のひとつが、「つながる」だ。大御所のAV監督、代々木忠氏が書いた名著である。昨年の秋に、「つながる」の読書会が2度ほど開催された。第1回目についてはこちら(AV監督の言葉に衝撃を受けて参加した読書会のこと)を参考にしていただきたい。

主催者は前回に引き続きヨガ講師の田原佐和子さんで、ゲストは有名AV監督の市原克也氏と、これまた有名AV男優の森林原人氏だ。参加者も増えていて約50名ほどいたのではないか。男性の参加者もそれに比例して多く、会場も広くなったのに酸素が薄くなるほどぎゅうぎゅうの密着度であった。

代々木忠流の「あげまん呼吸法」

前回は朗読及び座学がメインだったのに対して、昨年の秋に行われた第2回は、心理面から肉体へのアプローチがテーマだった。本書でも取り上げられている「あげまん呼吸法」の実践と、それ以後の肉体や心理面の変化(あるいは、それ以前の自分を理解する)である。「あげまん呼吸法って何?」「それって女性限定なんじゃないの?」「あげまん呼吸法をマスターした女性と付き合えば出世できるのか?」という疑問がぶつけられそうだが、世間一般がイメージする「あげまん」とは少し違う。

代々木忠流の「あげまん呼吸法」は、呼吸によって女性自身の快感を得ることを目的としているのだ。女性器を持たない男性も体感できるし、手や道具を使うわけではないので自慰行為ともまた違う。呼吸を通して本来の自分を思い起こす=本来の自分として生きることができる、というのが私の一番の感想だ。

「あげまん」というと、存在そのものが幸運な女性というか幸運をばらまく花咲か女みたいなイメージがあるけれど、もともと女性に限らず人は本来の自分を生きていればハッピーなわけで、女も男も関係はない。ただ、女性の身体には男性が入りこめる穴があるので、そこからラッキーやハッピーを出し入れできる、というのがルーツかなと私は思ったりする(諸説ありますが、ここではあえてふれません)。

まあ、物事はそう単純にはいかず、黄金の穴があろうとも黄金のスコップというか吸引する棒がなければ無意味だ。「あげちん」という言葉は「あげまん」に比べてマイナーだが、男性も棒を磨いて本来の自分を取り戻すのは大切である。男女和合でハッピーゴーラッキー、そのためにも男性に女性の感じ方を会得してほしい。ていうか、会得できるのが「あげまん呼吸法」なのだ。具体的には本書を熟読していただきたい。ここでは、私の感想を綴っていく。

最初は舐めてかかっていたけれど
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アラフィフ作家の迷走性活

森美樹

小説家の森美樹さんは、取材や趣味の場で、性のプロフェッショナルや性への探究心が強い方からさまざまな話を聞くのだそう。森さん自身も20代の頃から性的な縁に事欠かない人生でした。47歳の今、自分自身の経験を交えながら、性を追及し、迷走する...もっと読む

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mimikon3298 |森美樹 @morimikixxx |アラフィフ作家の迷走性活 森林原人さんのことも。 https://t.co/duSZXqyKMD 9ヶ月前 replyretweetfavorite