物語の終わらせ方に、作者のセンスが表れる
柳瀬博一(以下、柳瀬) 『政と源』の作品世界はすごく魅力的なんですが、スピンオフや番外編を書く予定はありますか?
三浦しをん(以下、三浦) うーん、今はすべてのやる気がナッシングなんですよね(笑)。
柳瀬 あ、今はもう放出しつくした状態ですか(笑)。いやでも、ここまでキャラクターが立っているからには、読んだ人はきっともっと二人の活躍を読みたくなりますよ。連載の最終回で挿絵の円陣闇丸さんが描いた、若いころの政と源のむちゃくちゃかっこいいイラストがあるじゃないですか。これを見ると、二人の若い時の逸話もおもしろそうだと思います。源がハゲる前の話とか(笑)。
『雑誌Cobalt』に掲載されたカラーピンナップ(©円陣闇丸)
三浦 ハゲる前……あ、ハゲ出した頃の話とか、おもしろそうですね(笑)。案外若ハゲだったりして。
柳瀬 絶対気にしますよ(笑)。カツラをかぶってみたりしてね。
三浦 で、男前な奥さんに「隠すのやめなさいよ!」と、はぎ取って捨てられる(笑)。
柳瀬 ほら、もう一本できたんじゃないですか? 三浦さんの物語って、このキャラクターといつまでも付き合っていたいなと思うんですよね。
三浦 そう言っていただけるとうれしいですね。
柳瀬 でも小説って、このキャラクターは今後もこの世界で生き続けるという余韻を残して、基本的に一冊ですぱーんと終わる。その寂しさと気持ちよさが、魅力だと思うんです。逆に、マンガって、連載し続ける限り続くから、物語の終わらせどころを見失ってしまうことがありますよね。