政と源』【中編】脳内で映画館が立ち上がる文章は、どのように生み出されるのか

三浦しをんさんの小説は、どれも、生き生きとしたキャラクターや情景描写で読者の心をつかみます。しかし、作品が多数映像化されているにもかかわらず、三浦さん自身は、小説を書いているときにはまったく頭に映像が浮かばないそうで……。執筆の際の思考過程や挿絵から受ける影響の話まで、三浦さんの作品世界に迫るインタビュー中編です。(聞き手:柳瀬博一 構成:崎谷実穂

柳瀬博一(以下、柳瀬) 『政と源』の国政も源二郎は、本当に素敵なじじいっぷりですよね。僕はこういう73歳になりたいと思いましたよ。

三浦しをん(以下、三浦) 私もなりたい(笑)。この二人の関係性もそうだし、年をとってもちょっとバカでかわいい弟子がついてくれたり、その彼女がおうちに遊びに来てくれたり。そういう老後、いいですよねえ。

柳瀬 僕なんか来年50歳だから、そんなに先の話でもないんです(笑)。問題は、源みたいな友達がいないってことですね。

三浦 源みたいな友達は、いたらいたですごい迷惑だと思いますよ(笑)。

柳瀬 大変ですよね。うちの叔父貴が1938年生まれで、今年75歳。静岡で下駄の問屋をやってるんですけど、ちょっと似たような感じなんです。

三浦 下駄で殴りかかってくるんですか(笑)。

柳瀬 いや、ほんとにちょっとそんな感じ(笑)。この間もトヨタの86っていうスポーツカーを買ったということで、日経ビジネスオンラインのフェルディナント・ヤマグチさんの連載に出てもらったんですよ。

三浦 うはは、お若いですね。商店街とか親戚のおじさんに、こういう自由人風の方が一人はいるような気がする(笑)。

柳瀬 親戚に一人はいますね、たしかに。三浦さんは、書くときに自分の脳内でキャスティングしたりすることはありますか? マンガ家さんはときどきありますよね、『ワンピース』に田中邦衛や松田優作がモデルのキャラクターが出てきたりとか。

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記憶」を嗅ぎあう関係の描き方—三浦しをんインタビュー

三浦しをん

バツイチの便利屋と訳ありの居候、天才ランナーと彼の才能に賭ける相棒、辞書作りに没頭する朴念仁とお調子者の同僚……。三浦しをんさんの小説は、生き生きとしたキャラクター達が織りなす人間関係の魅力で、読者の心をつかんできました。三浦さんの友...もっと読む

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yanabo 三浦しをんさんの小説ほど映画やテレビで傑作になる小説って珍しいけど、脳内で映画館が立ち上がるあの文章はどう生まれるのか?しをんさん本人に訊きました。それから漫画の原作、やりませんか?という質問にも。小説 4年以上前 replyretweetfavorite

yaiask 13:27まで無料。三浦しをんさんを柳瀬博一さん @yanabo がインタビュー。小説家の頭のなかは、どうなっているの?【中編】脳内で映画館が立ち上がる文章は、どのように生み出されるのか|小説 4年以上前 replyretweetfavorite

consaba 【中編】脳内で映画館が立ち上がる文章は、どのように生み出されるのか|小説 #life954 #ss954 4年以上前 replyretweetfavorite

yanabo 「舟を編む」「まほろ」「風が強く吹いている」三浦しをん作品は常に映像化され話題を呼ぶ。脳内で映画館が立ち上がる文章はどう生まれる?三浦さんが漫画原作をやることは?しをん小説の「映像」力の秘密を訊く。|小説 4年以上前 replyretweetfavorite