孤独な心を取り戻そう

2019年、「ワイングラスのむこう側」最後の更新は孤独についてのお話。孤独な心を持とうという林伸次さん、一体どういう意図があるのでしょうか。

なんであんなに音楽や映画や小説を消費できたのか

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

以前、音楽関係の仕事をしている方に聞いたのですが、今こういう音楽が海外では大流行していて、そのムーブメントの中心人物であるアーティストはこういう経歴の人で、こういうスキャンダルもあって、という情報のウェブページって、すごくアクセスされるらしいんです。

で、その情報ページの下の方に、そのアーティストの曲のYouTubeやSpotifyが埋め込んでありますよね。それ無料なのに、ほとんどの人がクリックしないそうなんです。もちろん「電車の中でスマホで見てるから、イヤホンをわざわざ出したくない」という理由もあるでしょうが、その方が言うには「そのムーブメントやアーティストの情報は欲しいのだけど、音そのものを聞く時間がもったいない」ということなのだそうです。

でもわかりますよね。流行っている本とか映画とかも大体の情報がわかれば良くて、わざわざ全部読んだり見たりはしようと思わないってことよくあります。Twitterで勝手に表示される10秒くらいの面白動画なら見ますが、わざわざクリックして見るものってあまりないですよね。

この現象って以前からずっと指摘されていますが、要するに「消費者のお金じゃなくて時間を取り合いしている」ことが原因なんでしょうね。時間の取り合いだったら、長いコンテンツはもう難しいのかもしれません。

ところで、どうして僕たちは、以前は「音楽」や「映画」や「小説」を、あんなに積極的に聞いたり見たり読んだりすることができたのでしょうか? もちろん、すごく面白かったり気持ちよかったりしたから」だとは思うのですが、実は違ったんじゃないか、あれは「あの音楽、良いよね」とか「俺、こんなに映画詳しいよ」とか「自分はあの文学が理解できる」といった、「コミュニケーションのため」だったのでは、と思うんです。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

vino_cavolfiore そういう意味では年末のcakesのこの記事はすごくためになった。自分と向き合うことを忘れかけていてそれを取り戻そうという気持ちになれた。 https://t.co/gSrngQIKW1 11ヶ月前 replyretweetfavorite

ame9488 【孤独】や【ひとり】でいることをこんな風にとらえてしまえる 林さんの観点が本当にすごい。 11ヶ月前 replyretweetfavorite

Y_Tronc 音楽や小説や映画を、孤独になって、ゆっくりと楽しんでみませんか? 誰とも繋がっていないから、孤独だからこそわかるものってありますよね。 11ヶ月前 replyretweetfavorite

harucas https://t.co/vda2OMQcaN 11ヶ月前 replyretweetfavorite