なんであんなに音楽や映画や小説を消費できたのか
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
以前、音楽関係の仕事をしている方に聞いたのですが、今こういう音楽が海外では大流行していて、そのムーブメントの中心人物であるアーティストはこういう経歴の人で、こういうスキャンダルもあって、という情報のウェブページって、すごくアクセスされるらしいんです。
で、その情報ページの下の方に、そのアーティストの曲のYouTubeやSpotifyが埋め込んでありますよね。それ無料なのに、ほとんどの人がクリックしないそうなんです。もちろん「電車の中でスマホで見てるから、イヤホンをわざわざ出したくない」という理由もあるでしょうが、その方が言うには「そのムーブメントやアーティストの情報は欲しいのだけど、音そのものを聞く時間がもったいない」ということなのだそうです。
でもわかりますよね。流行っている本とか映画とかも大体の情報がわかれば良くて、わざわざ全部読んだり見たりはしようと思わないってことよくあります。Twitterで勝手に表示される10秒くらいの面白動画なら見ますが、わざわざクリックして見るものってあまりないですよね。
この現象って以前からずっと指摘されていますが、要するに「消費者のお金じゃなくて時間を取り合いしている」ことが原因なんでしょうね。時間の取り合いだったら、長いコンテンツはもう難しいのかもしれません。
ところで、どうして僕たちは、以前は「音楽」や「映画」や「小説」を、あんなに積極的に聞いたり見たり読んだりすることができたのでしょうか? もちろん、すごく面白かったり気持ちよかったりしたから」だとは思うのですが、実は違ったんじゃないか、あれは「あの音楽、良いよね」とか「俺、こんなに映画詳しいよ」とか「自分はあの文学が理解できる」といった、「コミュニケーションのため」だったのでは、と思うんです。
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