俺の2019年映画ベストテン(前編)

美人東大卒弁護士という華やかな肩書きと裏腹に、常識が通用しないぶっ飛んだ奥さまと、3歳になった息子を育てる樋口毅宏さん。今回は年末特別編として、樋口さんが2019年に観た映画100本あまりの中から、ベスト10を前編と後編にわけてご紹介します!(後編は明日更新)

去年に引き続き、今年も発表させて頂きます。

このテキストを書いている時点で今年観た映画の本数は100本余り。自宅で観たNetflixも含めます。

去年、一昨年と低調に感じていたのに、今年は素晴らしい映画との出会いが多くて、泣く泣くベストテンからこぼれてしまう作品も多々ありました。

以下、順不同でベストテンです。僕自身が少しでもネタバレされるのが嫌いなので、ストーリーにもほとんど触れていません。安心して読んで下さい。

虚空門GATE

東京では渋谷のイメージフォーラムだけで上映したドキュメンタリー映画。本当は1位と断言したいぐらい。

会う人ごとに「絶対観た方がいい」と触れ回った。そうしたら観た人たちが全員「凄いものを観た」と興奮気味に触れ回っている。

ミステリーやサスペンスに使われる、「想像を遥かに超える」という常套句など、本作には生易しい。絶対に想像不可能の着地点。

今年これを観ていない人の映画ベストテンは片手落ちにもほどがあるだろう。ここまで言い切るのは、僕も人生で最初で最後だと思います。

ネタバレしないよう、とにかく情報を入れないで観に行って下さい。人生で数えるほどしかない映画体験ができます。

パラサイト 半地下の家族

自分の中のドラマ部門ではダントツで1位。

ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』を21世紀に入ってからの外国語映画1位に選ぶ人も多いだろうが、本作はそこに肩を並べるのではないか。

どうしてポン・ジュノは「家族」という、ベタでお涙頂戴の題材の使い方がこんなにも上手いのか。

「泣かせよう」とする作為が見え見えの大ヒット感動作。その反動としてのアカデミックなインテリ向け。どちらもダメなのだ。

ポン・ジュノは違う。何もかも見えている。誰もが努力しても追いつかない視点を獲得している。

雑誌『PEN』のNo.488にも寄稿したのでそちらもどうぞ。

COLD WAR あの歌、2つの心

1949年、共産主義政権下のポーランドで、ピアニストのヴィクトルに、歌手志望のズーラは見出される。そこから始まるロックンロール・ジェットコースター・ムービー!だけど観客は最後に軌道から投げ出される。

これもまだ「面白くなかった」と言う人に会ったことがない。ポーランド人のパヴェウ・パヴリコフスキ監督は、本作でアカデミー監督賞にノミネートされたことだし、次回作はハリウッドで撮るのだろうか。

観る者の生きる覚悟さえ問われる、超絶の名作。

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Baby Don't cry 〜赤ちゃんと俺とキレ妻と〜

樋口毅宏

伝説の育児日記が帰ってきた!『おっぱいがほしい!——男の子育て日記』で、各方面を騒然・唖然・呆然とさせた作家の樋口毅宏さんが、満を持してcakesで続編をスタート!美人東大卒弁護士という華やかな肩書きと裏腹に、常識が通用しないぶっ飛ん...もっと読む

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arifretayumon 作家の樋口毅宏さんが「虚空門GATE」について今年も書いてくれました。おおこれは! ありがとうございます! https://t.co/oMzTzhE6au 4ヶ月前 replyretweetfavorite