第12回 金利の話

多くの日本人が望む「マイホーム」を自己資金だけで購入しようとすれば、20年、30年と働き、預金し続けなければならないでしょう。そんな未来のマイホームの夢を即座にかなえてくれるのが、銀行からの「借金」です。そういう意味で、橘玲さんは「借金はタイムマシン」だと言います。そして、そのタイムマシンに乗るための乗車賃が「金利」なのです。(『いきいき』2012年12月号より転載)

銀行にお金を預けたり、借りたりすると金利がつきます。当たり前の話ですが、それでは金利とはいったい何のことでしょう? よく考えると、これはなかなか難しい問題です。

金融の定義はいろいろあるでしょうが、今回は「借金はタイムマシン」という話をしたいと思います。とはいえ、これまでと同様、ぜんぜん難しい理屈ではありません。マイホームを買うときに、ほとんどのひとは住宅ローンという借金をします。手持ちの資金だけでは、何千万円もする不動産を買うことができないからです。

日本の金融機関では、通常、住宅ローンを組むときに2割の自己資金が必要になります。5000万円の物件なら、1000万円(5000万円×20%)が自己資金で、残りの4000万円を銀行が貸してくれるわけです。

この4000万円を年200万円ずつ返済していくと、ローンを完済するまでに20年かかります。もし銀行がお金を貸してくれなければ、あるいは市場に金融の機能がなければ、こつこつお金を貯めて4000万円のマイホームを手にするまで20年かかってしまうのです。

30歳のときに家を買おうと決心して、ようやくお金が貯まったときは50歳だった—これではなんの意味もありませんから、マイホームのような高額の買い物には借金が不可欠なのです。住宅ローンを使うと、50歳にならなければ手に入らなかったマイホームがいますぐ自分のものになります。そう考えれば、借金には20年後の出来事(マイホームの購入)を即座に実現するドラえもんのポケットのような効果があることがわかります。

私たちは借金によって、未来の夢をたちまちのうちにかなえることができます。すなわち、借金はタイムマシンなのです。

借金は時間旅行。金利は……!?

借金が時間旅行だとすると、金利とはいったい何でしょう? それは、タイムマシンの「乗車賃」です。

ところで、この乗車賃はいくらになるのでしょうか? 30年の元利均等返済(※)で4000万円の住宅ローンを借りた場合、毎月の支払額は金利3%で約16万8000円、総支払額はおよそ6000万円になります。借り手は、30年分割で約2000万円の「乗車賃」を払うのです。

住宅ローンの金利が3%というのは歴史的には低利ですが、それでもタイムマシンの乗車賃がかなり高額になることがわかります。これは借金の額が大きいのと、返済期間が長期だからです。

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