うつになってもあなたはあなた

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』をcakesで特別連載!(毎週火曜更新)

うつになってもあなたはあなた

 うつになると、自分が壊れた感じがします。「自分は昔からダメだったのではないか」という気にもなります。
 過去検索をして「ダメな自分探し」を始めてしまったり、今度は未来に対しても、「きっとダメだ」という感じになっていくのです。
 うつになっても、あなたがあなたであることは変わりません。自分が生きてきたストーリーの中で、そこのワンシーンがあったというだけの話です。
 乗り越えた人間にはわかるのです。とにかく死なずに生きてみる、日々を過ごしてみることです。いいも悪いも別にして、ただただ向き合って、「何が起きたか」という事実だけを見ていくのです。
 そうすると、「あれ? うつうつとしていたときとは違う自分がここにいる」と感じる瞬間があるのです。
 そのときがチャンスです。今の自分が自分なら、それ以前の自分は自分ではなかったのかというと、そんなことはないわけです。うつだったからこそ、壊れた感じがして、「自分の過去も未来もダメ」みたいなレッテルを貼っていただけなのです。
 ふと、そう感じない瞬間が来たときに、それを逃さずに見てみると、「あっ、落ち込んでいたあのときも私は私だったな」と認められるときが来るのです。
 そして、そこで終わらせずに、「いや、うつになったからこそわかることがあるよね」という気づきにつなげることができます。
 第3章で「元通りの私にこだわるな」と書きましたが、「以前はできたけれど今はできないこと」に注目してしまう人は多いです。
 でも、もっと気づくべきところがあるのではないでしょうか。
 打たれ強くなったとか、人の痛みがわかるようになったとか。
 自分では気づきにくいのですが、普通には戻れないどころか、今の経験でどれだけ成長しているかわかりません。それを振り返る時期というのが必要なのです。
 震災の復興支援でも、被災者の方たちに「振り返り期」というものを作っています。「今までこんなにつらくて、こうだった。でも、今はこうだ」と、自分のストーリーをもう一回おさらいすることによって、成長に気づけます。
 それが他者の支援にもつながっていくのです。「あなただからこそ、ほかの人の支援ができるし、あなただからこそ、私よりももっといい支援者になれるのでは?」という地点に行き着くのです。
 元に戻るのではなく、成長していて社会貢献できる。それはすごいことではないでしょうか。

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玉川真里

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』をcak...もっと読む

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restart20141201 ゛日々を過ごしてみることです。ただただ向き合って、「何が起きたか」という事実だけを見ていくのです。゛ https://t.co/lyl1gV2nPN 8ヶ月前 replyretweetfavorite

yomimonocom 「いや、うつになったからこそわかることがあるよね」 元自衛隊の臨床心理士・玉川真里さんの連載「イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ」 第40回「」を公開! https://t.co/mAae3C8ngX 8ヶ月前 replyretweetfavorite