そんなに強調されたら

「モテる文体とはなにか?」を徹底的に分析する連載です。今回は、林真理子さんの「目に飛び込む会話文」について解説します。書評ライター・三宅香帆さんの著書『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』から特別収録。





林真理子の強調力
耳慣れないのに、なぜか実際の会話よりもリアル! 





か、完璧っ。最初から終わりまで、こんなに完璧なコラムありますか。

さすが林真理子大先生! 
元祖&不動のコラム女王! 

ってこれは私が個人的に林真理子ファンだからっていうわけではなく、ほんっとにこの圧倒的な文章力に惚れ惚れしてるんですけど。

お分かりになりますかこの文章の素晴らしさが!? 
えっ? それよりも私のテンションに引いてる!? 引かないで!

まず書き出しからして、すごい。
だって「私はこの年になってやっとわかったことがある。」ですよ。
ここで、読み手は興味を持ってしまう。

たとえばこれが「私はこの年になってわかった。」じゃ、ダメなんです。
“やっと”わかったことがある、からすごい。
“やっと”は強調で、大げさに見せる表現として成立しています。
といってもたとえば強調表現といったらすぐに“超”とか“鬼”とか“めちゃめちゃ”を多用する人は反省してください(私もよく使ってしまうんですが)。
物静かな“やっと”という言葉が、読者の興味をぐーっと引き寄せるんですね。

それから、話は「デキている」女の秘密に迫っていく、わけですが、この「デキている」もまた、カタカナによって「デキている」という言葉に目がいくはずです。
「あの人とあの人は付き合っているらしい」じゃなくて、「あの人とあの人とは“デキて”いるらしい」じゃなきゃあ、ぱっと文字を目にしたときのインパクトがまるで違います。

もう読み手の心を捕まえて絶対逃さない。その豪腕からは誰も逃れられない。
が、しかし林真理子さんは、それだけではまだ勘弁してくれないのです。

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文芸オタク女子の バズる文章教室

三宅香帆

こんな書き方もありだったのか! 文芸オタク女子が暴露する、「モテる文章の秘密」がいっぱい。文章を書くという行為が、今よりもっと面白くなるはずです。

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