使える哲学

こうすべき」の“根拠”を問う ビジネス倫理学はなぜ必要か

「わが上なる星しげき空と、わが内なる道徳法則」──。

 18世紀プロイセンの哲学者、イマヌエル・カントは私たちの心のうちにある道徳の美しさを星空に喩えた。

 素敵な表現だが、看過してはいけないのは、カントが天体と対比して道徳に法則性を求めている点だ。果たして、道徳にも法則性があるのだろうか。こう自問した瞬間に、その人のうちで「哲学」が始まる。

 カントは、私たち皆に当てはまる普遍的法則があるはずだと考えたのだが、彼のように、道徳について哲学を行う学問を「道徳哲学」あるいは「倫理学」と呼ぶ。

 カントは道徳哲学や倫理学に関する著作の中で、「守るつもりのない約束をすべきではない」「うそをついてはならない」「私たちには困っている人を助ける義務がある」「自分の才能を伸ばさないといけない」などと主張した。このように、道徳や倫理は、「べきではない」「ならない」「義務がある」「いけない」と表現されるというところに特徴がある。

 ただし、こうした道徳や倫理の主張は、私たちが家庭や小学校の「道徳の時間」で習うことであり、決して哲学ではない。カントのすごさは、単に主張したのみならず、その先、なぜそうなのかまで考え抜いたところにある。

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週刊ダイヤモンド 2019年6/8号 [雑誌]

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ダイヤモンド社; 週刊版
2019-06-03

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「物事の本質は何か?」「人間とは何か?」「正しいとは何か?」──。そんな答えの見えない難問に、人は2500年にわたって挑んできた。この間、連綿と培われてきた哲人たちの洞察や思考スキルが、ビジネスや仕事に使えないはずがない。先の見えない...もっと読む

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