【ロゴス・パトス・エトス】
アリストテレス
アリストテレスは著書『弁論術』において、人を説得するには「ロゴス・パトス・エトス」の三つが重要だと説いた。
ロゴスとは「ロジック=論理」のこと。つまり「論理だけでは人は動かない」というのが、アリストテレスの指摘だ。コンサルタントがなぜ組織改革に失敗するかはこれで十分に説明できる。
では他には何が必要なのか? それは「パトス=パッション=情熱」と「エトス=エシックス=倫理」だ。数字目標だけを掲げて組織を引っ張ろうとしているダメ管理職は、肝に銘じるべし。
【予定説】
ジャン・カルヴァン
日本人は因果応報という考え方が大好きだが、キリスト教は正反対である。予定説とは「天国に救済されるかどうかはあらかじめ決まっており、善行を積んだとか悪行を重ねたということは関係ない」ということ。頑張ったら救済される、なんてことは『聖書』には書かれていない。
「だからこそ人は頑張った」と指摘したのが、有名なマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』だ。モチベーションこそが最大の経営資源となっている現在、なぜ成果主義や能力主義の人事制度は空回りするのか、という点も併せて、あらためて考えなければいけない指摘だ。
【ルサンチマン】
フリードリヒ・ニーチェ
ルサンチマンとは、弱者が強者に感じる「やっかみ」のこと。なぜこれが重要かというと、ルサンチマンはズバリ商機になるから。
ルサンチマンを抱えた人は、ルサンチマンを解消するために「分かりやすい記号」を手に入れようとする。高級腕時計、ブランドもののバッグ、高級外車などが典型だろう。利便性に価値がない今、ルサンチマンこそが大きな富の源泉となりつつある。ルサンチマンに踊らされないように気を付けたい。
【自由からの逃走】
エーリヒ・フロム
多くの人が「自由になりたい」とぼやく。しかし、フロムは「あなたは自由に耐えられるのか?」と問う。サルトルもまた、「現代人は自由という刑に処されている」と指摘した。全てが自分で選択可能で、全ての結果を自分で受け入れられる状況は過酷であり、多くの人は一度自由を手にしても、再び「全体主義」の心地よさに帰巣してしまう。
「自由になりたい」とぼやく前に「他人と違うこと」に耐えられる心を鍛えたい。
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