農家の数は1000万人から192万人に! そして半数以上が高齢者

東北の農業や漁業の現場を取材したタブロイド紙と、野菜や魚などの生産物をセットで届ける新しいタイプのメディア「東北食べる通信」。その名物編集長が、「都市」と「地方」を切り口に、これからの農業・漁業、地域経済、消費のあり方、情報社会における生き方までを語り尽くした、『都市と地方をかきまぜる』(光文社新書)を、cakes読者に特別公開します!

「神様はいる」

湧水集落でワサビを栽培している農家、福地嘉之さん(三四歳)は、三歳からしし踊りを叩き込まれてきた。しし踊りを演じていると、観衆の年寄りたちが手を合わせて自分を拝んでくれた。ししの衣装に神様の気が入っていると感じていた。そんな踊りを踊れることに感謝の気持ちでいっぱいだった。福地さんには、形も存在も見えないけれど、神様はいるという感覚がある。就農前の会社員時代も小さな神棚を社宅の部屋に設け、拝んでから出勤することを欠かさなかったという。

「無事に目が覚めた。風邪もひいていない。今日もいつもと変わらない普通の一日を元気に過ごせることに感謝します、と心の中で神様に伝えていた。寝坊し、日課をさぼったときに限って、指を切る怪我をしたりする。だから、やっぱりいるんだなぁ、という感覚がある」

人間がコントロールできない自然に働きかけて命の糧を得る農業、漁業の世界は、最後は神に祈るしかない。ゆえに全国各地に残る郷土芸能の多くが、農村、漁村の生産現場から生まれ、主に生産者が担ってきた。

私が生まれる少し前の一九七〇年に約一〇〇〇万人いた農家は現在、約一九二万人に激減。私より若い四〇歳以下は、約一二万人しかいない。そして六五パーセント以上が、六五歳以上の高齢者だ。漁師の担い手はもっと深刻な状況である。生産者の減少は、同時にこうした郷土芸能の担い手の減少に直結している。

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この連載について

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都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡

高橋博之

東北の農業や漁業の現場を取材したタブロイド紙と、野菜や魚などの生産物をセットで届ける新しいタイプのメディア「東北食べる通信」。その名物編集長が、「都市」と「地方」を切り口に、これからの農業・漁業、地域経済、消費のあり方、情報社会におけ...もっと読む

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