昨日食べた料理の「食材を育てた人」の顔が思い浮かびますか?

東北の農業や漁業の現場を取材したタブロイド紙と、野菜や魚などの生産物をセットで届ける新しいタイプのメディア「東北食べる通信」。その名物編集長が、「都市」と「地方」を切り口に、これからの農業・漁業、地域経済、消費のあり方、情報社会における生き方までを語り尽くした、『都市と地方をかきまぜる』(光文社新書)を、cakes読者に特別公開します!

第一章 食は命に直結する
一 生産者との出会い

生産現場の「顔」が見えない

私は都心で講演や車座座談会(意見交流の場)を行うたびに、その冒頭、よく会場の参加者にこう問いかける。

「みなさんは昨日三回食事をしたと思いますが、その内、何かおかず一品でもいいので、その食材を育てた人の顔が思い浮かんだという方は手をあげてください」

どこの会場でも、こう問いかけて一〇〇人中ひとりでも手をあげる人がいればいい方だ。

誰も自分が食べているものをつくった人を知らない。どこでどんな苦労があり、どんな方法で食べものがつくられたのかわからない。

現在の消費社会においては、巨大な流通システムのおかげで都会で暮らしていても全国津々浦々の生産物が鮮度のよい状態で食べられるが、生産者と消費者はすっかり分断されてしまっている。

もちろん都市住民は、スーパーの店頭にきれいに並べられたカット食材や、レストランの皿にきれいに盛りつけられた料理の「価格」は知っている。「カロリー」も表示されている。「原産地」や「賞味期限」もしっかりと示されている。けれどそれらは食べものの表側の情報に過ぎない。食べものの裏側にいる生産者の顔はまったく見えないのだ。

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この連載について

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都市と地方をかきまぜる 「食べる通信」の奇跡

高橋博之

東北の農業や漁業の現場を取材したタブロイド紙と、野菜や魚などの生産物をセットで届ける新しいタイプのメディア「東北食べる通信」。その名物編集長が、「都市」と「地方」を切り口に、これからの農業・漁業、地域経済、消費のあり方、情報社会におけ...もっと読む

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コメント

rusyatyou ここ最近読んだ文章の中で一番濃いかも。 10ヶ月前 replyretweetfavorite