一般的に、夫がずっと家にいると夫婦仲は険悪になる、というイメージがあると思う。定年退職後の熟年離婚しかり、若い夫婦でも「休日に夫が家にいるとグータラしてばかりで邪魔になる」という話はよく聞く。
実際に、私自身も、夫が週休2日制のサラリーマン生活をしていた頃は、休日に彼が家にいることが結構な苦痛だった。
というのも、グータラしている男が家にいると、役に立たないどころか体が大きいから育児や家事の動線を塞ぎまくりで、子どもは不機嫌になるし家事はやりづらいしで、なかなかの害だった。
だから必ず、休日はお出かけデートをするようにしていた。「休日を家で過ごしてしまうと、夫のことを嫌いになりそうだ」と感じていたから、家では過ごさないようにすることで愛が壊れるのを回避するという作戦だった。
そんな風だっだから、夫に退職をしてもらうことが決まった時、実はけっこう不安だった。
私たち夫婦はどうなってしまうのだろう
転勤族からの解放は心の底から嬉しかったし、「これで我が家の育休は確保できた。もしもこの先、第二子を妊娠することがあったとしても、わりと安心して産める!」と思えたことは本当だったけれど、その一方で、"夫が毎日家にいることによって、私たち夫婦はどうなってしまうのだろう"と考えると、実はけっこうハラハラしていた。
週7で家の中でグータラされたら絶対にストレスになるし、そうなったらきっと、キライになるのも時間の問題だ。
とはいえ、私のために無職になる決意をしてくれたほどの人だから、すぐに見切りをつけたりはせず、まずは話し合いを重ねて改善していくことを目指すつもりではあったけれど。
ただ、いずれにせよ「新生活が始まってからしばらくは、毎日のように夫婦喧嘩をすることになるかもしれない。普通に考えたら、そうなる!」という風には思っていて、そこは気が重いけれど覚悟していた。
しかし、いざ蓋を開けてみたら、無職となった夫の様子は予想していたものとは全く違っていた。意外にも、新生活が始まってから今日までの2か月間、夫のグータラが原因の夫婦喧嘩は一度もしていない。
それどころか、夫が仕事を辞めてから、家の中で大爆笑することが増えた。「この人って、こんなに明るい人だったんだ…!」「こんなに面白い男だったのか」と、よく思うようになった。
もはや別人と言えるレベル
もともと暗くはなかったし、そもそも面白さが決め手になって結婚をした相手なのだけど、そこからさらに、もはや別人と言えるレベルで、彼は明るく面白い人になった。こんなに明るくてひょうきんな成人男性を見たことがない、というレベル。クラス1陽気な男子児童みたい。
そんな最近の彼を見ていると、私は今まで、電池残量20%くらいのセーフモードみたいな姿しか見たことがなかったんじゃないかと思う。フル充電となり、元気ハツラツ100%になった時の彼は、私がこの3年間見てきて「こういう人」だと思っていた夫の人物像とは、ちょっと驚くほど違うものだった。
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