書けるひとになる! 魂の文章術

書くことを何も思いつかない日の対処法

書くことで、あなたの人生はもっと楽しくなる! 全米100万部超え、14カ国語で翻訳された、ロングセラーの名著がついに復刊! 自己表現したい/書きたいのに書けない/もっとうまく書きたい… そんなあなたに贈る「書けるひとになる! 魂の文章術」は何度も読みたくなる 楽しい文章読本だ。ベストセラー作家にして40年にわたってライティングを教え続けている著者自身や生徒たちの実体験を踏まえ、<どうすれば書けるか><書き続けられるか>を伝授する。

机に向かってもなにも書くことが思いつかない、という日もあるものだ。真っ白なページが脅迫しているかのように思えてくる。かといって、十分間の練習のあいだ、「書くことが思いつかない。書くことが思いつかない」と繰り返すのは退屈すぎる。そういうときのために、ノートに一ページ余白をとっておき、書く題材を思いついたら、すぐ書きとめられるようにしておくといい。どこかで耳にした言葉でもいい。たとえば、あるレストランで、私はひとりのウェイターに、別のウェイターについて文句を言ったことがある。彼の返事はこうだ。「あいつが変わっているのはわかってますよ。でも、人が別の調子で踊っているなら、ほうっておきましょうよ」。とつぜんよみがえってきた記憶でもいい。たとえば、おじいさんの入れ歯、去年留守にしていて嗅ぎそこねた六月のライラックの香り、サドルシューズをはいていた八歳のころの自分……。なんでもかまわない。なにか思い浮かんだら、いつでもリストに書いておこう。そうしておけば、机に向かったとき、リストから話題を選んで書きはじめることができる。

リストを作るのはいいことだ。日常生活の中の題材に視線が向かいはじめ、それによって、自分の生活やその細部との関わりから文章が生まれてくるようになるからだ。こうして“こやしづくり”のプロセスが始まっていく。身体が材料を消化し、かきまぜはじめている。机に向かっていないときでも、文章修行という種を濃い緑に育てる準備—土壌を整え、肥料をやり、日にあてる—が、身体のどこかで行なわれているのだ。

いざ机に向かったとき、なにを書こうかとあまり時間をかけて考えてはいけない。せわしない心であれこれ迷っていると、いつまでたっても一語も書けないということにもなりかねない。そんなときリストがあれば、迷いを断ち切って、すぐに書きはじめることができるだろう。いったん書きはじめると、心がその題材を展開していくさまに驚く場合がよくある。それはいいことだ。そんなとき、あなた自身は文章をコントロールしようとはしていない。じゃまにならないように一歩退いている。そのまま手を動かしつづけよう。

自分のリストができあがるまでの参考に、文章のアイデアをいくつか挙げておこう。

1.窓から差し込む光についてなにか書こう。すぐ机に向かって書きはじめること。いまは夜でカーテンが閉まっているとか、自分は北極のオーロラについて書きたいなどと文句を言わず、とにかく書く。十分、十五分、三十分と書きつづけよう。

2.「こんなことを覚えている」という書き出しで書いてみよう。たくさんのたわいない思い出を綴ろう。たいせつな思い出に行きあたったら、それについて書くのもいい。どんどん書きつづけること。五秒前のことでも、五年前の出来事でもかまわない。いま起こっていないことはすべて過去の記憶であり、それらは書くことでよみがえってくるからだ。手がとまってしまったら、なにか思いつくまで「こんなことを覚えている」と繰り返し書こう。

3.否定的であれ肯定的であれ、感情を強く動かされることがあったら、それが好きだという前提で書いてみよう。好きだという立場で、書けるだけ書こう。次に紙を裏返しにして、嫌いという立場から書いてみよう。それもすんだら、同じことについて完全に中立な立場で書いてみよう。

4.テーマ・カラーを選んで—たとえばピンク—十五分間散歩しよう。ピンク色のものに注意しながら歩くこと。家に戻ったら、自分の見たものについて十五分間書こう。

5.書く場所を変えてみよう。たとえばコインランドリーで洗濯機のリズムに合わせて書いてみる。バス停や喫茶店でもいい。そのとき自分のまわりで起こっていることを書き表そう。

6.自分がどんな朝を過ごすかを読み手に教えるのはどうだろう。目覚めから、朝食、通勤……。できるだけ具体的に書くこと。ゆっくり時間をとって、朝の出来事の細部を見なおしてみよう。

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書けるひとになる! 魂の文章術

N・ゴールドバーグ,小谷啓子
扶桑社
2019-11-02

この連載について

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書けるひとになる! 魂の文章術

ナタリー・ゴールドバーグ

書くことで、あなたの人生はもっと楽しくなる! 全米100万部超え、14カ国語で翻訳された、ロングセラーの名著がついに復刊! 自己表現したい/書きたいのに書けない/もっとうまく書きたい… そんなあなたも、“書けるひと”になれる! 何度も...もっと読む

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