なぜ、私たちはお金が足りなくなると「不安」になるのか?

「フェルミ推定」を用いた本質的なお金論。自身のケースでリアルに計算してみると、
より物語を楽しめるはずです。

3

「こいつが男だったら、俺とっくにキレてるな」翔太は心の中でそう思った。さっきまでの教室での対話で、詩織が優秀な頭脳を持った数学オタクであることはよくわかった。しかし、まがりなりにも6年間社会人として働き、毎月そこそこの給料をもらい、贅沢もせず堅実に貯蓄し、お金の不安はないと自分では思っていた翔太にとって、まだ大学生にもなっていない少女の言葉は、さすがにプライドが傷ついた。

しかし、ここで怒鳴っては負けだ。翔太はあくまで平静を装い、ほんの少しだけ笑顔を作りながら「まあ、ちょっと座るか」とテーブルを指差した。

「お金の価値観? お金はお金だろう」

「なるほど。お金はお金……」

「何だよ?」

「なぜ人々にはお金の不安があるのか。先ほどのこの問いの答えは?」

詩織の相変わらず高圧的な態度にイラつきつつ、翔太は自分からテーブルに誘ってしまった手前、しぶしぶ詩織の〝お金論〟に付き合うことにした。二人しかいない学食には、相変わらずおばちゃんの笑い声が響いている。

「なぜ人々にはお金の不安があるのか。俺が思うに、一言でいうなら〝足りなくなることへの恐怖〟かな」

「なるほど、本質的な回答ですね。私も同意見です」

詩織の意外なコメントに拍子抜けする翔太。しかしここからが詩織の〝お金論〟の始まりだった。

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深沢真太郎

ビジネス数学教育家・深沢真太郎が満を持して書き下ろした、青春数学自己啓発小説! 「私たち若者に、間違ったことを教えないでくださいーー。」 ひょんなことから母校の高校で卒業生講演会に招かれた29歳のド文系ホテルマン...もっと読む

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shinchan0922 この証明に反論があればどうぞ。なければ証明を終わります。 12日前 replyretweetfavorite

shigekey "衣・食・住だけでおよそ2億" |深沢真太郎 @shinchan0922 | 12日前 replyretweetfavorite