中華人民共和国が建国されると、毛沢東のいびつなマルクス主義解釈は、教条主義と中国の現状との間に横たわるギャップを止揚(アウフヘーベン)した「毛沢東思想」として神格化された。食いつめ者の農民を率いて遊撃戦を繰り返す山賊のような行動も、「第三世界に適合した革命戦術」として、現在に至るまで世界中の反政府ゲリラのお手本となっている。
だが実際のところ、毛沢東はそうする以外の方法を知らなかった。
彼は50歳を過ぎるまで外国旅行の経験がなく、外国語もほとんどできなかった。海外の書籍はそれなりに読んでいたが、西洋思想を体系的に学ぶ機会を持つことはなかった。
青臭い「洋秀才」たちが中国社会の実情を把握していなかった一方で、彼自身もやはり、正確に共産主義を理解していたとは言い難かったのだ。
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