※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。
「幸せを勝ち取ることは、不幸に耐えることより、勇気がいるの」
ロリィタファッションを身にまとい、自分自身の生き方を貫くため、茨城から代官山に通い続ける女の子のセリフです。2004年の映画、『下妻物語』に出てきます。
この映画が出た時に4歳だったであろう、現在19歳の方からご投稿をいただきました。読者の方からのご投稿を受け、「世間一般で言うハッピーエンドに合わせようとするあまり自分の人生見失っちゃあバッドエンドでしょ。じゃ、どうしよっか」ということを一緒に考えていくこちらの連載、「ハッピーエンドに殺されない」。勇気、出していきたいと思います。まずはご投稿を紹介します。
はじめまして。定期的に牧村さんのコラムを読んでいる者です。牧村さんにご相談したいことがあります。
私は現在19歳、バイセクシャルの大学生なのですが、SNS上で趣味を通じて知り合った10歳ほど年上の女性に片想いをしています。彼女の落ち着いた性格や、ユーモアがある所が好きになりました。彼女が私だけにパンセクシャルだと告白してくれ、その後も毎日のようにたわいもないことをやりとりしたりしています。また、私が成人したら一緒に温泉旅館に行こうと言ってくれました。彼女は結婚するなら女性がいいと言っていたのにですが、私としては老後や金銭面を考え、男性と結婚してほしいと考えています。私はこの恋を諦めるべきでしょうか。また、SNSで知り合った方を好きになることは変でしょうか是非牧村さんの意見をお聞きしたいです。拙い文章で申し訳ありませんでした。
編集部注:パンセクシャルとは、すべての人を恋愛対象とするセクシュアリティのこと。日本語では「全性愛」と訳される。
ア・ン・タ・が!
稼ぐのよおおおお!!!!
まったくもう、恋しちゃって!
その臆病さが恋の病よ。熱に浮かされてるとこね。
「変でしょうか」?
「諦めるべきでしょうか」?
何をおっしゃるの。「そんなことないよ」って言ってもらえるのを待っているだけに見えます。「全然変じゃないよ、諦めないで!」って回答を期待している。まったくもう、甘えん坊さんね。10歳年上のお姉さんに恋をする19歳ねえ!
はーい、甘えるならそのお姉さんに甘えてください。わたしは、やりませーん。
わたしは、あなたを甘やかすお姉さんではありません。文筆家です。モットーは「つなぐ、つづける、つたえてく」。なにか悩んでいる人と、必要な知識とをつなげたり、似たようなことに悩んだ先人たちの志を今生きている人にパスしてつづけたり、そのつづきを歩んでいる現代の人々の姿を文章にとどめて後世につたえたり……と、いうことが、仕事です。
だから、「稼ごう」って言ってます。
これは、「お金がすべて」みたいな話じゃなくて。
「女に仕事が許されず、男に養われなければ生きていけない時代があった。それを乗り越えて今、女であっても、大学に行ける。仕事を持てる。けれどいまだに男に比べて大学進学率は低く、賃金格差もある。そういう状況を踏まえて、ここにとどまろうとするのか、先に進もうとするのかは、自分自身が選ぶことだ。進みたいから、わたしは稼ぐ。あなたは、どうする?」って言ってます。
わたしの書いたものを読んでくださっているそうでありがたいのですが、レズビアン銀行の話とか読んだ? 本当、ついこないだ、「女が自力で食べていける仕事がない。仕事がないから自分で起業しようと思っても、女に融資してくれる銀行がない」みたいなマジ詰みの状況を生きていた女がいたわけですよ。で、どうしたかっていうと、銀行、作っちゃったわけですよ。女が女に融資する銀行を。この気合い。この気合いよ。この気合いが、愛でしょ。
愛だの恋だの気合いだけで、キラキラ乗り越えていけることばかりじゃないのは事実ですよ。「老後や金銭的なこと」とおっしゃったけど、確かに、書類上同性同士だと、現代日本では結婚制度が利用できない。なので例えば、
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