解離を否定していては、そこから抜け出せない

「すぐにびっくりする」「うるさい場所を嫌がる」…。5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。HSCの子を育てる親向けに、「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。『子どもの敏感さに困ったら読む本』をcakesで特別連載!(毎週木曜更新)

解離を否定していては、そこから抜け出せない

 私のクリニックには、医療機関ですから当然ですが、症状が重くなってしまった子が多くやってきます。敏感さは環境によって生きづらさとなり、そして社会に適応できなくなることがあります。解離性障害はその最たるものといえます。
 いくつか例をご紹介しましょう。

 とても優秀な子です。敏感で、境界が弱く、解離性障害がありました。
 小学1年から本を何十冊も読んでいました。図書館で借りてきて、2、3日で10冊も読むような子です。6年生のときには自分で映画の脚本を書いています。
 小学5年ごろより、大人をバカにするような言動が見られました。学校への反抗や、自身がいじめられた経験もありました。
 中学では運動部に入り、のちに部長にまでなりましたが、責任感が強すぎ、自分は部長にふさわしくないと悩んでいました。
 友だちと分け隔てなく公平に接することができ、社交的な性格で、他人との争いごとを避け、仲間のことを優先させ、他人の立場に立って物事を考えることもできる。
 これだけを聞くと問題なさそうですが、じつはこれはすべて、境界の弱さのあらわれでもあるのです。彼は友だちに相談を受けることが多くありました。境界が弱いので、その友だちに感情移入しやすく、他人のことを自分のことのように感じてしまい、落ち込みます。
 家ではきょうだいや両親への攻撃がありました。やることは速いのですが、長続きせず、我慢できず、身の回りのことしかしない。パソコンを始めると目つきが変わり、一日中、集中してしまうので、次の日には疲れて学校に行けなくなってしまいます。
 小学6年ごろから記憶の空白があり、眠れず、夢と現実の区別がつきづらくなっています。
 無意識にすぐ謝ってしまったり、へらへらしてしまったり、人に暴言を吐いてしまったあとにひどく後悔したりする。
 何ごともすぐに深く考えてしまう。考え込むモードに入ると、何げない場面やにおいやおもちゃなどがフラッシュバックすることがありました。
 リストカットの痕が発見されて、中学2年生のときに入院となります。
 彼の中には、3人の人格がいました。表と裏ともうひとりの自分。4歳のままのわがままで自己中心的な自分と、大人の自分、そして保護者的な自分が葛藤していました。
 小学5年ごろまでは、大人の自分が4歳の自分を抑えていましたが、蓋が開いてしまい、4歳の自分が大暴れするようになりました。
 敏感な子たちが追い詰められ、心の中に別人格を生み出し、解離する。この子にも、それがあったのです。
 でも、両親は理解がありません。そういう中で、彼は3つの人格を統合して、いろいろやり取りしながら生活していました。
 進学校に入って、受験して、いまは大学院に行っています。もう私のところに来ないので、よくなったのでしょう。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

子どもの敏感気質(HSC)の入門書。好評発売中!

この連載について

初回を読む
子どもの敏感さに困ったら

長沼 睦雄

「すぐにびっくりする」「うるさい場所を嫌がる」…。5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。HSCを育てる親に向けて、「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。『子どもの敏感さに困ったら読む本...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

yomimonocom 「敏感な子たちが追い詰められ、心の中に別人格を生み出し、解離する。」 HSPの第一人者、長沼睦雄医師の連載「子どもの敏感さに困ったら」 第38回「」がcakesにて公開!(毎週木曜更新) https://t.co/O5hUnZ4V98 9ヶ月前 replyretweetfavorite