聞いてほしいだけなら、前置きしてから話す
臨床心理士やカウンセラー、お医者さんのような専門家は、人が人に癒しを求めて失敗しないためにいるのだと思ってください。
そういう人たちに話を聞いてもらうときも、こういう前置きをするといいですね。「私の気持ちをわかってほしいので、ちょっと聞いてもらえますか」
それなら、相手も「ああ、聞くだけでいいのね」とわかって、そういうつもりで聴いてもらえます。
私には以前、すごく信頼している同僚カウンセラーさんがいました。その人は、そういう前置きをしないで話したとしたら、技術を使って解決に向けてしっかり対応してくれます。だから私は、助言はいらないと思うときは「ロバ耳つぼになってください」とお願いして、とにかく愚痴をバーッと言って聞き流してもらいます。
「それは大変だったね」と言ってもらって、「ありがとう」。それでお互い何も問題ありません。
でも、専門家は多くの場合、自分の役割として、なんとか助言してあげなければと思うものです。「うまい相づちが打てているかな」などと、相手の反応も気にします。
ところが、相手は助言を求めていなくて、ただ聞いてほしいだけだったという場合もしょっちゅうなので、「わかってくれない専門家」と言われたりもします。
ですから、良い面談にするには、「自分が求めていることを最初に話す」という方法を使ってみてください。
自分の痛みはすべて誰かの役に立つ
自分の苦しみや失敗は、全部ネタになります。そして誰かのためになります。
「そのネタを使って、自分はこれから誰に何ができるか」を考えればいいのです。
緊張しすぎて漏らしたとか、過呼吸で倒れてしまった体験も、それがあるからこそ同じ人に助言してあげることができるのです。その人と苦しみを分かち合うことができるのです。こんなに素晴らしいことはないですよね。
とりあえず、できることを考えてそれをストックしておくだけでOKです。
そして誰かが困っていたら、何に困っていて何を求めているのか聞いて、「そうか、それだったら、ぼくにはこんな経験があって、こうだったよ」と言ってあげられると、齟齬がなく役に立つことができるのです。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。