北原白秋の配合力
共通点が見つかれば、どこだって素敵な世界だ。
書き出しさえばしっと決まれば、そのあとどんどん書いていける。
文章のはじまりって難しいので、そこさえ決まっていれば!
って思いますよね。
では逆に、どんどん続きを書かされてしまうような、「魔法の書き出し」というものが存在する、としたら?
北原白秋先生の書き出しがまさにそうなんです。
ポイントは、はい、これ。
〉桐の花とカステラの時季となった。
「2つの言葉を並べる」ただそれだけです。
あまりにも美しい北原白秋先生の文章ですが、その中で語られているのは「カステラ最高」だけ。
初夏、淡い紫色の桐の花が飾られたテーブルに出される、少しぱさぱさしたカステラが最高なんですって。
そ、そんなの私でも書けるもん!
とすねたくもなるけれど、北原白秋先生のセンスがすばらしいのは
「カステラ」について語るために、わざわざ「桐の花」を隣に置いたところです。
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