桃山商事の恋バカ日誌

恋愛するのは「死ギガ怖ス」だから!?

「失恋ホスト」として数々の恋愛相談を受けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」の3人が、さまざまな角度から恋バナ談義を繰り広げるこの連載。これまで4回にわたってお送りしてきたテーマ「別れない理由」は今回でラストです。恋愛関係における日常の価値に注目すると共に、いつか迎える”別れ”を想う意義について考えます。

「日常の穏やかさ」という別れない理由

【登場人物】

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員

清田 桃山商事の恋バナ連載、今月は「別れない理由」をテーマに語っています。今回がこのテーマも最終回です。

ワッコ 前回は、「情があるから別れられない」という理由の「情」ってなんなんだろうということを考えました。

森田 情と対になるのは「ときめき」と言う話にもなったよね。なんとなく、「ときめきは非日常で、情は日常」っていうイメージがある。

清田 確かに。

森田 あと、別れにつながるようなケンカや揉め事も、どちらかというと非日常なのかなと。常連投稿者の「漁師の娘」さんが、結婚して子どもがいるから別れないけど、普通に付き合っているだけだったら別れてるんじゃないかという状況が過去に何度もあったと言っていた。

清田 結婚や子ども自体が「別れない理由」になるというのは、前にも出てきたよね

森田 娘さんの場合はそれに加えて、ケンカしていないときの日常の穏やかさに満足しているというのも大きいんだって。彼は感情の起伏があまりなくていつも穏やかなんだけど、娘さんは感情の波が大きくて周りに影響もされるから、そばにおおらかな人がいるだけで安心できる。この効用を知ってしまうと1人には戻れない……それが自分にとっての別れない理由なのかなと話していた。

清田 安心感というベースがあるってことだよね。修羅場的な局面もある一方で、日常は穏やかに過ごせている。

ワッコ 突風的なムカつきがあったとしても、それを打ち消すだけの圧倒的な"凪”があるのかなぁ。

森田 あと、娘さんの場合は、穏やかな日常の積み重ねが愛着みたいな感情につながっているような印象も受けた。

清田 以前この連載に出てくれた紫原明子さんが、愛着について語ってくれたよね

森田 紫原さんいわく、愛着は自分の家の「壁の染み」のようなもので、知らない間にできているんだけど、それを見ると「家に帰ってきたな」という気持ちになる……と。愛着も「別れない理由」のひとつになるんだろうなと思う。

恋愛のメメント・モリ

清田 漁師の娘さんや紫原さんは言語化していたけれど、穏やかな日常とか愛着の価値って、なかなか気づきにくいものでもあるよね。

ワッコ 何か問題が起きて、失いそうになって初めて気づくことも多そう。

森田 内臓や自律神経みたいなものだよね。健康なときはその存在にすら気づかないけど、痛みが出たりうまく働かなくなったりすると、途端に意識せざるを得なくなるっていう。

清田 実際、関係がマンネリになって別れ話をしていたら、「でもやっぱり好き! セックスしよう!」みたいな気持ちになる、なんてこともよく聞くよね。改めて考えてみてその価値に気づく的な……。

森田 だからこそ、順調にいっているときこそ「別れ」を意識してみるといいと思うんだけどね。

清田 恋愛のメメント・モリ問題。

ワッコ 死を忘れるな……。

森田 別れた後に、相手の存在がどの部分を埋めていたのかが意識化されることもあるわけで。前々回、ワッコが同棲していた彼と別れてしばらくの間、孤独死をリアルに感じて毎晩泣いていたというエピソードが出てきたけど、今の話につながるんじゃないかな。

ワッコ 孤独死への恐怖自体はそれまでもあった問題だと思うんですが、彼氏と住んでいるときは輪郭がぼやけていたんです。1人になってみてそれがすごいクリアに見えてきた。

清田 そこにずっとあったんだ!……みたいな。

森田 それって普遍的な意味での死の恐怖じゃないかなあ。

ワッコ わたしは今、死のことを毎日考えてます。夜寝るときに、このまま目覚めなかったらどうしようとか思いますもん。

森田 俺も死のことを考えていて眠れなくなることがある。よくわからない感覚になるよね。

ワッコ 死はマジいかついですよ。

森田 考えれば考えるほど怖くなる。

清田 ……死、ギガ怖ス

ワッコ (笑)何でしたっけそれ?

清田 松尾スズキさんの舞台のタイトル『命ギガ長ス』をサンプリングしてみました。

森田 いやほんと、ギガ怖スだよ。

ワッコ ギガ怖スですよ。

清田 死にたくないよ〜。

ワッコ わたしはもう究極、死が怖いから恋愛してるんじゃないかと思ったんですよ。

清田 おお。

ワッコ 死の恐怖に対して一人で戦うのってキツすぎると思うんです。夜中に「ギガ怖ス!」ってなったときに、話せる人がほしいじゃないですか。もちろん、彼氏ができたところで死がなくなるわけじゃないし、結婚したって自分の死を引き受けるのは自分だということもわかってますけど、死の恐怖を共有できるパートナーが近くにいてくれたら、少し楽になれるのかなって。

森田 それはよくわかるよ。死の恐怖と恋愛や結婚は、根っこの部分で絶対につながっていると思う。

この街を離れることがでない

清田 今の話を聞いていて、俺は桃山商事のサブメンバーである熊田操縦士の話を思い出していた。

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桃山商事の恋バカ日誌

森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

2001年の結成以来、「失恋ホスト」として1000人以上の男女から恋のお悩みやエピソードを聞き続けてきた恋バナ収集ユニット「桃山商事」がお届けする、新感覚の恋バナ談義。普段ほとんど語れることのない恋愛の様々なテーマを毎回ひとつ取り上げ...もっと読む

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momowakko 話が合わず、浮気までされてた彼氏とそれでもなかなか別れられなかったのは突き詰めると孤独死が怖いからだ!という話をしております。タイトルは松尾スズキさんの舞台『命ギガ長ス』から着想を得たものです👏 https://t.co/PN2Dzxy4Bo 15日前 replyretweetfavorite

momoyama_radio 話が合わず、浮気までされてた彼氏とそれでもなかなか別れられなかったのは突き詰めると孤独死が怖いからだ!という話をしております。タイトルは松尾スズキさんの舞台『命ギガ長ス』から着想を得たものです👏 https://t.co/ecFLGVLawV 15日前 replyretweetfavorite