書けるひとになる! 魂の文章術

全米100万部超えの「書けるひとになる」ための文章読本!

書くことで、あなたの人生はもっと楽しくなる! 全米100万部超え、14カ国語で翻訳された、ロングセラーの名著がついに復刊! 自己表現したい/書きたいのに書けない/もっとうまく書きたい… そんなあなたに贈る「書けるひとになる!」は何度も読みたくなる 楽しい文章読本だ。ベストセラー作家にして40年ライティングを教え続けている著者自身や生徒たちの実体験を踏まえ、<どうすれば書けるか><書き続けられるか>を伝授する。

十二月のある夜、私はニューメキシコ州のサンタ・フェで、知り合って間もない若い映画監督の誕生パーティーに出席していた。食べ物の並ぶテーブルのそばに立ち、私は会ったばかりの三十代前半の男性と三十分ほど話した。彼がまじめに詩を書いていることがわかったので、私も処女作を出す前は詩人だったと告げた。私たちは互いに冗談を言い合いながら、大いに楽しんでいた。

とつぜん、彼が戸惑った表情で私に聞いた。

「ところで、なにをお書きになったんですか?」

「本を何冊か。いちばん知られているのは『書けるひとになる!』かしら」と言うと、「嘘でしょう! あの著者はとっくに亡くなっているものと思っていました」と言って彼は大きく目を見開いた。私がまばたきもせず「ちがうのよ。ちゃんと生きてる。まだしぶとくペンを走らせているわよ」と応えたところで、私たちは爆笑した。彼にそれ以上説明することはなかった。彼は私の本を高校で読んでいたけれど、当時読んだ本の著者は、男であれ女であれみな故人だったにちがいない。中学、高校で勉強した本の著者がいま生きているはずがない。

本書が一九八六年に出版された当初、私は講演で「これが五〇年代に出ていたら、まったく売れなかったでしょう」とよく言ったものだった。しかし幸いにもこの本が出たころのアメリカは、自己表現をしたい人たちであふれていた。書くことに関しては人はみな平等だ。地域、階級、性、人種のちがいは問われない。私にファンレターをくれる人もさまざまだ。フロリダの保険会社の副社長、ネブラスカの工場やミズーリの石切場で働く人たち、テキサスの囚人、弁護士、医者、同性愛者の権利を求めている活動家、主婦、司書、教師、僧侶、政治家。この本が出た直後、書くことについての大革命が起こり、本屋には物書きのためのコーナーが続出した。

そのころある生徒が私にこんなことを言った。

「わかりました。書くことって新しい宗教なんですね」

「でも、どうして? なぜみんなが文章を書きたがっているんでしょう?」

アメリカを代表するような名小説を誰もが書きたがっているとは、私には思えない。でも誰にだって自分の話を聞いてほしい、自分がどう考え、感じ、なにを見てきたかを死ぬ前に表現したいという夢がある。書くことは自分を知り、自分と仲よくなるための道なのだ。

考えてみれば、アリは文章を書かない、木もしかり。純血の馬や大鹿、飼い猫、芝生や石も……。書くことは人間固有の行為で、ヒトの遺伝子だけに組み込まれたものなのかもしれない。譲渡不可能な国民の権利として独立宣言に追加すべきではないか。

「生命、自由、幸福の追求—そして書くこと」

書くことにお金はかからない。ペンと紙(機械に強い人はもちろんコンピュータ)、そして頭脳がありさえすればいい。あなたは、自分の知覚のどの未開部分を開拓できるだろう? 人生で月を意識しはじめたのはどの秋? 完璧なブルーベリーを採ったのはいつ? 本格的な自転車を手に入れるまでにどれくらいの時間がかかった? あなたの守護天使は誰? いまなにを考えている? あるいは考えていない? いまなにを見ている? あるいは見ていない? 書くことはあなたに自信を与え、目覚めさせてくれる。

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書けるひとになる! 魂の文章術

N・ゴールドバーグ,小谷啓子
扶桑社
2019-11-02

この連載について

書けるひとになる! 魂の文章術

ナタリー・ゴールドバーグ

書くことで、あなたの人生はもっと楽しくなる! 全米100万部超え、14カ国語で翻訳された、ロングセラーの名著がついに復刊! 自己表現したい/書きたいのに書けない/もっとうまく書きたい… そんなあなたも、“書けるひと”になれる! 何度も...もっと読む

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コメント

ivkky すてきなプロローグだ。 22日前 replyretweetfavorite

seri_hkd_kgw_os また興味深い連載がはじまってしまった 「損失を永遠に受け入れよ。 あらゆることに対して素直であれ、心を開き、聞き耳をたてよ。 自分の経験、言葉、知識の尊厳を恐れたり恥じたりしてはならない。 生きることに恋せよ。」 https://t.co/gkWwFhItLL 22日前 replyretweetfavorite