【第8回】
ナイチンゲールの罠
—無駄なグラフを見抜く「3つの問い」

あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。 どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたしてどれだけの人がその本当の面白さを知っているだろうか。この連載では、cakesという新しいプラットフォームに相応しい、最新かつ最も刺激的な統計学の世界を紹介したい。(毎週火・金更新)

「ふ~ん」としか言えないグラフ

 ここ数回にわたり、サンプリングデータによってデータ分析のコストを削減できることと、その精度が思いのほか高いものであることを説明した。
 だがそれ以上に重要なのは、「果たしてその解析はかけたコスト以上の利益を自社にもたらすような判断につながるのだろうか?」という視点だ。

 顧客の性別や年代、居住地域の構成を見ると何%ずつでした、あるいはアンケートの回答結果を見ると「とてもそう思う」と答えた人が何%いました、といったデータの集計を「解析結果」として示されることはしばしばある。コンサルタントだとかマーケターだとか名乗る人々の中にも、適当なアンケートをとってキレイな集計グラフを作ることのみを生業にしているんじゃないかという人すらいる。

 だが、果たしてこれらの結果に「何となく現状を把握した気になる」という以上の意味はあるだろうか? その結果を報告したあなたの上司やクライアントは「ふ~ん」と言う以上に何かリアクションのしようがあるだろうか?

データをビジネスに使うための「3つの問い」

 「ふ~ん」以上のリアクションをするとは、すなわち、「ビジネスにおける具体的な行動に繋がる」ということである。そしてそうした具体的な行動を引き出すためには、最低限以下の「3つの問い」に対して答えられなければいけない。

【問1】何かの要因が変化すれば利益は向上するのか?
【問2】そうした変化を起こすような行動は実際に可能なのか?
【問3】変化を起こす行動が可能だとしてそのコストは利益を上回るのか?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ケイクス

この連載について

初回を読む
統計学が最強の学問である

西内啓

あえて断言しよう。あらゆる学問のなかで統計学が最強の学問であると。 どんな権威やロジックも吹き飛ばして正解を導き出す統計学の影響は、現代社会で強まる一方である。「ビッグデータ」などの言葉が流行ることもそうした状況の現れだが、はたして...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード