菊池桃子を祝う政治家の古びた話法

経済産業省の新原浩朗産業政策局長との結婚を発表した菊池桃子。歌手や女優だけでなく、大学で雇用問題を学び、大学の客員教授を務めたり、一億総活躍国民会議の民間議員に起用されたりと様々な分野で活動しています。今回は、菊池桃子の結婚を通して見えてきた、女性の社会進出を阻む政治家たちについて考えます。

「おめでとう」と伝えるだけのこと

結婚というのはしてもいいし、しなくてもいいものである。結婚している人が、していない人に対して、「したほうがいいよ」と前のめりになっている光景を見るのが苦手だ。苦手を飛び出して、不快の領域に入る。結婚しているくらいでなんなんだキミは、と思う。こちらは結婚しているが、その状態に依拠した説教を撒くことはない(と思っているが、受け取るほうがどう感じているかはわからない)。とはいえ、誰かが結婚を決めたという状態や判断に対しては、とてもおめでたい、と感じるので、おめでとうございますと伝える。ただそれだけのことである。

変わらない社会に打ちのめされる

菊池桃子が経済産業省の新原浩朗・経済産業政策局長との結婚を発表した。彼女が近年、大学で教鞭をとり、「キャリア形成論」の研究を進めてきたことは知られている。その経緯を記した著書『午後には陽の当たる場所』を読むと、「キャリア」の意味が丁寧に説明されている。キャリアの語源にはいくつかの説があるが、中世ラテン語の「轍(わだち)」をキャリアと言った説が有力で、「馬車や牛車が通過したあとに残る車輪の跡」のことを「時間的、空間的概念に置き換えて」使うようになったのではないかとする。菊池は、精神科医・ユングが人間の人生を一日の太陽の進行にたとえ、人生の午後が始まるのは40歳前後だとしたのを知り、39歳のころに「背伸びをしたら夕方の雰囲気も覗けそう」と、「キャリア」について学び始めたという。

彼女は「NPO法人 キャリア権推進ネットワーク」の理事にも就任。「キャリア権」なる言葉に馴染みがなかったので、当団体のウェブサイトを読むと、「働く人々が意欲と能力に応じて希望する仕事を選択し、職業生活を通じて幸福を追求する権利」とある。菊池は障がいを持つ長女が中学受験の資格を得られなかった経験などを綴りながら、個人が個人で生きる道を自由に選択できる社会の到来を望み、複数の活動を続けてきた。長男を産んだ時には「子どもを産んだら芸能界はもうやめるんだよね」と多くの人に言われたという。「キャリア」を学び、教える現在は、そういった、なかなか変わらない社会に打ちのめされた経験がバネになっている。

甘利明「我等のアイドルが野蛮人の手に」
この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

往復書簡 無目的な思索の応答

又吉直樹,武田砂鉄
朝日出版社
2019-03-20

この連載について

初回を読む
ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

theodorodorno 特に甘利はあんまりだ。 それより、早く説明責任を果たせ! 24日前 replyretweetfavorite

kome_gohan_ まず菊池桃子さんが研究やってるの知らなかった!著者気になる 27日前 replyretweetfavorite

estoynaomiendo 全く。甘利氏のつぶやきにはもう脱力感。 28日前 replyretweetfavorite

koichinsa 一億総活躍って変な名前の会議に呼ばれて、そこでちゃんと異を唱えた真っ当な方、と認識を改めました。 29日前 replyretweetfavorite