シーズニング」に3つめの意味を【パリッコ・スズキナオ】

恒例の振り返り対談。「季節をつまみに飲むために【スズキナオ】」「思い出の店の跡地で飲む【パリッコ】」について振り返っていただきました!今話題のチェアリングに続き新たなブームが生まれそうな予感。
なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、ぬるーく書いていくリレーエッセイです。過去の連載へはこちらから。

書籍化しました!

“よむ”お酒(イースト・プレス)

本連載『パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!』が本になりました。
その名も『“よむ”お酒』。
好評発売中!
ひとり飲みや、晩酌のお伴にぜひどうぞ


「シーズンいく?」

パリ ナオさんの「季節をつまみに飲むために」の回、粋でした。そして、本当にそうそう! って共感する内容だった。

ナオ パリッコさんも前からやってましたよね。桜が散ったあとも外で飲もうよっていう活動。

パリ うん。「青葉飲み」とか「落ち葉飲み」とかいってね。

ナオ 落ち葉の季節もいけますよね! 12月ぐらいまでって、天気のいい日中なら意外と暖かかったりして。

パリ 例えば今、11月入りましたけど、日によっては花見の時期と快適さが変わらなかったりする。

ナオ そう! 今、一番いい気候じゃないですか?

パリ ですよね。「うわ、今日も最高! 昨日も最高だったのに?」って。なんもしてないのに毎日ごほうびもらっちゃってるイメージですよ。

ナオ 最高が続いてます。いい気候の日がもったいなくてしょうがないんですよね。つい先日も割と近所の大阪城公園で、シート敷いて横になってました。

パリ はは。ただ横になるのいい。僕も、こないだ別のコラムに書いたんですが、チキンラーメンとお湯持って公園行って、それつまみに一杯やったりしてましたね。

ナオ 読みましたよ! あれもいいですね。

パリ でもシートもラーメンも、あまり大手を振ってできないというか、ちょっと人目をしのんでやる感覚ですよね。

ナオ 周りに誰もやってる人がいなくて、いきなり自分だけっていうのは勇気がいります。

パリ つまり、現状は花見の時期が非日常なんだけど、それがもっと日常になったらいいのになと。

ナオ そうです! そういうことが言いたくて。「せーの!」でやれるチャンスをもっと作ろうよと。

パリ ね。一個一個地道に定着させていくしかない。

ナオ 土日の遊びの選択肢になったらいいなと思いますね。「どうする? 映画もいいし、アウトレットモールもいいけど……あ、落ち葉いく?」みたいな。

パリ ははは。落ち葉だけなんだか侘しいな〜。けどいちばん行きたい。

ナオ 名前のせいかも。落ち葉は英語でなんていうんだろう?

パリ 翻訳してみたところ「Fallen leaves」。なんかピンとこない。

ナオ あー。こないなー。

パリ なんていうか、「花見」にしてもピンポイントすぎるから、ぜんぶひっくるめられないかな。「自然いく?」みたいな。「外いく?」とか。

ナオ 「表出る?」

パリ はは。ケンカ売られてる?

ナオ 「サンシャワー浴びにいく?」はどうですか。

パリ 明るい感じでいいですね! あ、でも曇りの日や夜も外出たいからな……。

ナオ 外の空気に触れたいんですよね。

パリ 外気は「Open air」。なんかかっこよすぎる。つまるところ、「季節感」なんですよね。もっとも感じたいのは。

ナオ そうですね。

パリ 季節は「Season」。「シーズンいく?」なんか地元にしかないローカルスーパーに誘ってるみたいな。

ナオ ははは。行為にすると「シーズニング」。

パリ あれ、シーズニングってなんだっけ?

ナオ すでにある言葉でしたか。

パリ 鉄鍋なんかを最初に使い始める前のお手入れのことだ。あと、調味料やハーブを調合した「シーズニングスパイス」というのもありますね。3つめ、割りこめるかな〜。

ナオ 「(3)季節を感じること」無理矢理入れたい。

TVドラマ「シーズンズ」

ナオ なんか、季節って、何回巡っても慣れなくないですか?

パリ わかる!

ナオ 例えばこれから寒いじゃないですか。そうすると、反対に夏が恋しくなったりするんだけど、ようやく暑くなってきたというところでいつも「あ、そうだ、汗ばむんだった」って思いだす。夏のいいところしか覚えてない。

パリ めちゃくちゃ暑かった日の暑さ、もう思いだせないですもんね。

ナオ 「あ、蚊も一緒にやってくるんだったわー」って、うんざりして。

パリ 「リリリリ」と秋の虫が鳴きだすと、「あ〜そうだった」ってね。要するになんというか、そういう感覚を肴に酒を飲みたいんですよね。

ナオ そうそう。まさにシーズニング。そのときそのときで「今これがこうなってる季節ですよね」って確認しあいながら飲みたい。でもそれってもう、お年寄りの感覚? 季節ごとの花などを楽しんでいるような。

パリ はは。いやでも、それこそがいちばん心地いいものになってきてますよ。鉄鍋で、シーズニングスパイスをまぶした鶏肉でも焼きながら、シーズニングしたいですね。

ナオ あ、いいですね! シーズニングを一気にやりつくす。

パリ ジーンズも履いて。

ナオ はは。

パリ 本人は「ベストジーニスト」と「ベストシーズニスト」を狙っているつもり。

ナオ ぜんぶ取りにいく姿勢。はた目には何してるんだかまったくわからないのがまたいいですね。「今日、鉄鍋で肉を焼いてる人を見たんだよー。真新しいジーパン履いてさ」って。

パリ 「アウトドアが趣味な人なんだな」っていうだけ。しかし真実は、シーズニスト。季節人。

ナオ 「季節人」と書いて「シズト」。いま一番憧れの存在です。

パリ はは! 鈴木季節人さん。シーズニストは、別に旬の食材とかには興味がなくてもいいんですよね。ベビースター食べながら秋を感じるとか。

ナオ そうですそうです。外で飲んでると息が白くなるとか、チューハイの缶に指が張りつくとか。あれもシーズンですよ。

パリ 生活の中でふと「あ、シーズン」ってね。キムタクなら流行らせられるかも。

ナオ キムタクならやれるでしょうね。「ちょ、あ……シーズン」。

パリ ははは! なにを慌ててんだ。「おいおい! ちょ、ちょま、あ……シーズン」。

ナオ シーズンのほうが気になってしまったキムタク。

パリ 追いかけろよ! それで、「くっそ、逃げられたか……」っていう、シーズン刑事。

ナオ シーズンを感じるたびに犯人を追いかける気が失せてしまうっていう。だとしたらだいたいいつもダメそうだな。

パリ でもラストでは、他の人がつかまえてきた犯人にシーズンの良さを問いて自白させますから。

ナオ 季節の素晴らしさをね。「お前がこうしてる間にもな……木々が色づいてんだよ!」。

パリ 「私が……やりました……」

ナオ 「よし、さっさと出てこい。そんで、紅葉、見にいこうな」

パリ はは。くだらねー。

ナオ せめて1回はその設定で乗りきれるとして、最終回までもつかな。

パリ 大丈夫です。月1ドラマなんで、きっとなんかしらある。

ナオ あ、いいですね! 実際の季節と連動してるんだ。全12回ね。

パリ 好評だったら、「シーズンズ 〜シーズン2〜」。

ナオ はは。シリーズになると紛らわしいな。「シーズンズ3 〜ラストシーズン〜」。

パリ エンディングテーマは「浜崎あゆみ/SEASONS」。

ナオ それしかないですね。オープニングは同曲の木村自身によるカバー。

パリ ははは。オープニングとエンディング同じ曲。

ナオ 季節のように巡っていくものということで。

パリ うまいけどなんか腹立つな!

少しは細雪

ナオ パリッコさんの「思い出の店の跡地で飲む」では、「細雪」(かつて渋谷に存在した大衆酒場)の跡地で飲んでいましたね。今こうなっているとは! と、レポートとしても嬉しかったです。

パリ まさかああいう店になるとはっていうポイントついてきましたよね。韓国風のカルビ丼とスン豆腐の店。ただあの、出て来た瓶ビールがスーパードライで、それで昨日、ちょうどあるイベントで必要だったので、かつての細雪の写真を見返していたんですけど、細雪のビールもスーパードライだったんですよ。

ナオ そうでしたっけ! 同じ空間で同じものを飲んでいるのだから少しは細雪ですね。

パリ そう。「少しは細雪だったんだな〜」と、あらためてしんみりしました。

ナオ パリッコさん、「富士屋本店」(同じく、かつて渋谷に存在した大衆立ち飲み屋)のイベントに出られてましたよね。見にいけなかったのが悔しかったけど、あそこもまた、もう無いなんて信じられないお店です。

パリ あ、それがまさにさっき言ってたイベントで。なんとスペシャルゲストとして女将のヨシエさんが登壇されて。

ナオ いいなー! 渋谷で仕事してた頃はよく行ってました。

パリ ちなみに最前列にミヤマッチさん(スズキナオがリーダーを務めるバンド「チミドロ」のメンバーのひとり)がいました。

ナオ ははは! 来てましたか! あの人も富士屋本店、好きだったもんな。

パリ イベント中、司会の塩見なゆさんが客席に向かって「女将さんに『このメニューが好きだった』『美味しさの秘訣を知りたい』などの質問がある方はいらっしゃいますか?」って聞いたら、真っ先に手を上げて「しいたけ天!」つってて、「それ注文してんの? ここは富士屋なの?」って混乱しました。

ナオ ははは! ミヤマッチらしいなー。ちょっと変なチョイス!今食べたいものを答えただけみたいな。

パリ 女将さんも「しいたけ天なんてねぇ、揚げるだけだから……」って。

ナオ ははは。そりゃそうだよ! 普通、真っ先に出ます? もっと他にあるだろ!

パリ けどそのあと、名物の「スパサラ」とか「なす味噌」とかが出て、女将さんが詳細にレシピを教えてくれるたびに歓声があがってて、しいたけ天のフリが効いてましたよ。

ナオ よけいに最初のしいたけ天がきわだってくるっていう。

パリ みんなあの空気感を肴に酒をガンガン飲んでるから、普段のトークイベントより会場もガヤガヤしてて、でもそれがまた富士屋っぽくて、なんかよかったな。女将さんもいるし、手元にはホッピーセットもある。焼酎もちゃんと宝焼酎の360mlボトルで。あの空間もだいぶ富士屋といえました。

ナオ そんなイベントが開催されるっておもしろいですよね。もちろんそれは富士屋本店が愛された店で、さらに女将さんがそこに呼ばれて出てくれるっていう姿勢あってこそだろうけど。細雪でも同じようなイベントがあったらいいのに!

パリ でもあの大将、最後に行った時に一緒に記念写真頼んだだけでも「魂が抜かれる」って騒いでたからな。来てくれるかな?

ナオ ははは。来てくれなそうだなー!

過去の連載はこちらからお楽しみください!
この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

酒にまつわるあれこれをゆるーく、ぬるーく、たまに真剣に書き綴る。

“よむ"お酒

パリッコ,スズキナオ
イースト・プレス
2019-11-17

この連載について

初回を読む
パリッコ、スズキナオののんだ? のんだ!

スズキナオ /パリッコ

なんだか気ぜわしい僕たちの毎日には、楽しくて、ちょっとホッとできる「お酒」が必要だ! 本連載はそんなお酒をこよなく愛するあまり、「酒の穴」というユニットを結成してしまったパリッコさんとスズキナオさんが、酒にまつわるアレコレをゆるーく、...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード