図解】観察・解釈・介入のプロセス

忖度、対立、抑圧……。どうして職場で正論が通用しないのでしょうか? あらゆる現場で起きる「わかりあえなさ」から始まる諸問題は、ノウハウで一方的に解決できるものではありません。立場や権限を問わず、ノウハウが通用しない問題を突破する、組織論とナラティヴ・アプローチの超実践的融合とは──
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対話のプロセス2.観察「溝の向こうを眺める」

準備段階で、自分と相手のナラティヴには隔たりがあることがわかりました。向こう岸にいる相手が、一体どんな環境、職業倫理などの枠組みの中で生きているのか、そのナラティヴをよく知ろうとするのが次の段階です。

じっくりと相手や相手の周囲を「観察」してみましょう。相手にはどんなプレッシャーがかかっているか、相手にはどんな責任があるか、相手にはどんな仕事上の関心があるか、それはなぜか、など、いくつもの気づきが得られると思います。

適応課題が生じるのは、生じるなりの理由があります。その理由がわかってくると、こちら側でもどのように相手にアプローチしていくことができるか、その手がかりになるものがきっと見えてくるはずです。

つまり観察とは、こちら側がどのように働きかけることができるか、そのリソースを掘り起こす作業なのです。この段階をじっくり取り組んでおくと、次の解釈・介入のフェーズでの取り組みがかなり広がります。

対話のプロセス3.解釈「溝を渡り橋を設計する」

観察することで、相手のナラティヴを把握できれば、自分の言っていること、やろうとしていることが、相手にとって意味のあるものとして受け入れられるために必要なポイントが見えてくるはずです。

「解釈」の段階は、橋を架けるために、どこにどんな橋を架けるべきか、設計をします。

そのために、相手のナラティヴの形やその中の様子が見えてきたら、一度、相手のナラティヴを解釈してみましょう。つまり相手のナラティヴの中に飛び移って、相手がどんな状況で仕事をしているのかをシミュレートするのです。そこから、自分が言っていることや、やっていることがどんな風に見えるかをよく眺めてみるのです。

相手のナラティヴから自分を見てみると、どこなら橋を架けられる場所があるか、相手に対してどんな橋を架けたらいいかがハッキリとしてきます。意外な発見や道筋が見えてくるかもしれません。

対話のプロセス4.介入「溝に橋を架ける」

実際に行動をすることで、橋(新しい関係性)を築くのが、「介入」の段階です。

今まで相手のことをよく調べて、考えてきましたので、ここでは具体的に行動に移してみましょう。

ここぞというタイミングを狙って、行動してみましょう。せっかく今まで向こう岸を一生懸命探って考えてきたのに、行動しなければ何も変わりません。それに、もうこの段階ならば、うまくいきそうだというポイントも見えてきつつあるはずです。

実際に行動してみて、うまく橋が架かることもあれば、架からないこともあります。自分の架けた橋の具合を冷静に見てみて、本当に架かっているか、ぐらついているところはないかなどをチェックするのがとても大事です。

もしうまくいっていない箇所が見つかったら、もう一度、観察のステップに戻って、じっくり相手のナラティヴを観察してみましょう。これを繰り返すうちに、徐々に頑丈な橋が架かるようになるはずです。

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わかりあえなさ」から始める組織論

宇田川元一

忖度、対立、抑圧……。どうして職場で正論が通用しないのか? 現場で起きる「わかりあえなさ」から始まる諸問題は、ノウハウで一方的に解決できるものではありません。その「適応課題」と呼ばれる複雑で厄介な組織の問題をいかに解くか。 論破す...もっと読む

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Uchi_kurubushi 図解整理の上手さ…。https://t.co/WnV4iC8MG8 3日前 replyretweetfavorite