雑談といえば、自分から何か話さなくてはと思いがちですが、決してそんなことはありません。
逆に、自分ばかりペラペラしゃべると「うっとうしい人だな」と思われてしまうでしょう。こちらから雑談のキッカケを作ったり、話しかけてくれた人が話しやすいように受け答えすればいいだけです。
人間というのは、根本的に自分のことを話すのが好き。小さな子どもたちを見れば、それは一目瞭然でしょう。
「今日、○○ちゃんとお絵描きしたんだよ」
「上手に描けてるって、先生にほめられたんだ」
こんなふうに、小さな子どもたちは、自分のことを一生懸命に話します。それは、自分を理解し、認めてもらいたいからです。
そして、大人になっても、この本質は変わりません。だから、自分の話を熱心に聞いてくれる相手には、子どもが母親を好きになるように好意を持つわけです。
「取るに足らない話題でも、あの人となら盛り上がるな」
「あの人と話していると、時間が過ぎるのをつい忘れてしまうんだ」
こんな評価を受けるのは、とにかく、きちんと相手の話に耳を傾ける人です。
雑談の技術を身につけようするとき、「まずはネタを仕入れなければ」と考える人も多いのですが、「聞く力」を磨くのを忘れてはいけません。
人は、自分の話したいことを話したいだけ話せば、相手があいづち程度で自分のことは何も話していなかったとしても、「楽しい会話ができた」と思うものです。ですから、相手が話し好きでどんどん話してくれる人なら、超ラッキーです。ただ話を聞いているだけで、他になんの努力もなく、相手の好意を手に入れることができるのですから。
「人の話を聞くことで、人生の80パーセントは成功する」
これはアメリカの、話し方と人間関係の研究者デール・カーネギーの言葉です。人の話を聞くということは相手を喜ばすだけでなく、同時に自らも学ぶことになります。人の話を聞くということは相手を喜ばすだけでなく、同時に自らも学ぶことになります。視野が広がり、発想のきっかけにもなるからです。
「聞く」メリットは、他にもあります。たとえば、聞くことによって、相手の考えやニーズがわかります。これは営業マンにとっては必要不可欠な情報です。また、話の中から自分との共通点を見つけられれば、いっそう相手との距離を縮められます。相手が、自分の知らない知識を与えてくれることだってあるのです。
最後に、聞くことの最大の利点は、相手の人間性を知ることができるという点です。積極的な人、消極的な人、几帳面な人、大ざっぱな人、優しい人、正直な人などなど。今後のその人との付き合いや対応に、大いに参考になるでしょう。
よく出てくる言葉、強く語る言葉をチェックする
「少し予算オーバーだけど、せっかくだから大型テレビを買おうと思っているんだ。でも妻は、狭い部屋に大画面なんて目が悪くなりそうだし、設置するのに他の家具を移動させなくちゃならないのが面倒だといって、あまり乗り気じゃないんだよ。確かに値がはるよ。でも、今までのテレビにない機能があって、絶対楽しいはずだろ? 多少リモコンの操作が複雑でも、それが高価格に見合う付加価値ってもんじゃないか」
こんな話をする人がいたら、この人が一番言いたいこと、または気になっていることは何だと思いますか。
それは、値段です。もしかしたら、奥さんが快く賛成しないのも、目が悪くなるからでも家具の移動をしなければならないからでもなく、値段が高いということなのではと想像できるでしょう。その理由は、彼のセリフの中に「予算オーバー」「値がはる」「高価格」と、何度も値段についての言葉が出てくるからです。
しかし、みなさんは、今このセリフを文字として読んだから、それに気づいたのかもしれません。酒を飲んだ時の相手の愚痴として漫然と聞き流していたとしたら、気づきにくいものです。そこでうっかり、
「子どもじゃあるまいし、テレビにくっついて見るわけないよな」とか、
「家具の移動はお前がやればいいじゃないか」とか、
「俺もリモコンにやたらに機能があるのは嫌だな」
などと答えたら、相手は言いたいことが伝わっていないと感じ、その後は、あまり会話ははずまないでしょう。
とりとめのない話でも、注意して聞いていると何度も出てくるキーワードがあるものです。それが、相手の言いたいことです。それについて話を広げていけば、どんどん会話ははずんでいくはずです。
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