深沢真太郎
「
友達は多い方がいい」は論理的に正しくない⁉︎
「友達は、多ければ多いほどいい」ノリの良さと愛嬌で生きてきた29歳ド文系ホテルマン・翔太の主張に対し、17歳、社会経験ゼロの詩織がアドラー心理学と「円」のたとえを使って“証明”していくさまは、本質的で爽快。誰かに振り回されがちな人間関係や「インスタ映え」に追われる生活に疲れ気味の方、必読です。
3
「いや〜、今日はありがとうございました。途中で体育館を抜け出す者がいなかったのは、今回が初めてですよ」
校長から深々と頭を下げられ、さすがの翔太も恐縮した。楽しそうに帰っていく生徒の姿を見て、校長の山上は本当に嬉しそうだ。
「こちらこそ、貴重な機会をいただきありがとうございます。せっかくなので、一人で校舎を少し見てから帰りたいのですが」
快諾を得た翔太は、かつて過ごした教室に足を運んでみることにした。
3年生の時の教室は……たしか4階のちょうど真ん中あたりだったと記憶をたどる。校舎の中は10年前とほとんど変わっていない。まさに、タイムスリップした気分だ。
目当ての教室はすぐにわかった。同じような教室が並んでいるのにすぐに見当がつくのは不思議な気がしたが、間違いなくここだ。少し高揚しながら、扉を開けて中に入る。黒板。机と椅子。ロッカー。差し込む夕日。まるで学園ドラマの一コマに入り込んだようだ。窓際まで足を運び、校庭を眺める。かつて、この場所で1年後輩の美奈に告白されたことを思い出していた。
「あの、ちょっといいですか?」
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この連載について
深沢真太郎
ビジネス数学教育家・深沢真太郎が満を持して書き下ろした、青春数学自己啓発小説!
「私たち若者に、間違ったことを教えないでくださいーー。」
ひょんなことから母校の高校で卒業生講演会に招かれた29歳のド文系ホテルマン...もっと読む
著者プロフィール
ビジネス数学教育家
BMコンサルティング株式会社代表取締役
一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事
幼少の頃から数学に没頭する。
日本大学大学院総合基礎科学研究科修了後、予備校の数学講師となるも自らの指導理念との齟齬を感じ、わずか半年で退職。いきなりの挫折に一発奮起し、自ら“真逆の世界"と定義するファッション業界に飛び込むことを決意。大手外資系アパレル販売員としてキャリアをスタートし、ごく普通のサラリーマンをゼロから経験した。その後、数字を使った論理的な仕事が認められ、管理職として活躍。やがて「数学でビジネスパーソンを救う仕事」が今後の自分の使命と決意。
2011年、かつての数学教育者とサラリーマン経験の2つの キャリアを掛け算した「ビジネス数学」を提唱し、研修講師として 独立。その分野では唯一の専門家として、のべ7,000人以上の文系ビジネスパーソンを劇的に変えてきた。その懇切丁寧な指導法は「史上最強にわかりやすい」と好評。担当研修のリピート率は100%を誇る。
多摩大学で教鞭をとるかたわら、2017年一般社団法人日本ビジネス 数学協会を設立。ビジネス数学指導者の育成に携わる。
著作は国内で累計13万部超。一部は翻訳され、多くの海外ビジネスパーソンに読まれている。特に、文系向けにビジネス数学をストーリー仕立てにした「数学女子智香」シリーズと『そもそも「論理的 に考える」って何から始めればいいの?』」の三作は、国内累計5万部超のベストセラーとなっている。今回は、著者初の「数学的・青春自己啓発小説」となる。