お腹は空いているのに、何を食べたいのかわからない。えーと、餃子はこないだ食べたでしょ、秋刀魚はまだ冷凍ものだし。ツマミを二、三品作るのは面倒くさいけど、丼もので済ませるのもちょっとさびしい。うーん……私の腹は今、何腹なんだ。脳内ではドラマ版『孤独のグルメ』の名台詞が勝手にアレンジされて、アレでもない、コレでもない、と何腹問答。
この状態に最も陥りやすいのが、今の時期だと思うんですね。まだまだ暑いけど、冷たいものはちょっと勘弁、かといって焼肉とか揚げ物も何となく疲れる。毎年これを繰り返して、わかってきたのは鍋、じつは鍋こそが「正解」への近道ではないか。自覚症状はなくても胃腸は確実に弱っている。最初はピンと来なくても、あったかくて消化によいものを収めると、身も心も存外満足するはず。
豚バラ白菜鍋、湯豆腐、キムチ鍋、おでん、水炊き、カレー鍋……どれも何か違うなあ。本棚から数年前の鍋特集の料理雑誌を取り出して、パラパラ。お、サバ味噌鍋、これなんかいいんじゃない。作ったことないけど、要はサバ味噌でしょ。味は大体想像できる。
ところで、サバの旬っていつだっけ。
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