お葬式にスーツはNGと言われたけど、どうすればいいの?

今回の相談は、葬祭時の服装について。世のマナー本やマナー解説サイトを覗くと、「葬祭の場には礼装が基本、それ以外はNG」といった意見をよく見かけます。とはいえ使用頻度は決して高くない礼装、本当に買うべきなんでしょうか?

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ペンネーム:花のこーぢ

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さて、件名にあります通りでまず具体的にお聞きしたいのは、葬祭時のスーツはどういったアイテムまでならオーケーで、どういったアイテムだとタブー(というかそぐわない)なのか、という質問です。

と言うのも、これまで冠婚時やちょっとしたパーティー、ビジネスなどではこのQ&Aや他の時でも何回か具体的なアイテムをあげつつ指南を頂いていたと思うのですが、『葬祭』の時ではどのようなデザイン、素材感のジャケットやスラックスならば許されるのか、といったご指南が今までなかった?と自分では記憶しているので、イマイチ自分の中での線引きに自信がありません。

自分は普段仕事でもスーツは使いませんので使うとしても基本プライベートです。たまーに仕事の研修などで数年に一度必要な時もあるのですが、それは前にご指南頂いた物だったり、最近YouTubeでも触れられていたUNIQLOの『ウールブレンドニットジャケット』や『コンフォートジャケット』等の私服使いもしやすい物で流用出来ると思うので問題ないのですが… 葬祭時、となると上記のようなアイテムでは厳粛な場であるTPOには向かないんだろうなと考えてしまいます。

故人をお見送りする大事な場、ということでそれにそぐわしい一張羅のような物を1セットアップで用意しておくのがベターなのでしょうが、自分としては余りクローゼットに服を増やしすぎたくないと思っておりますので、普段から出来る限り着回し易い服を持つようにしております。
以前MBさんが教えてくださった、服のクリーニング&保管も出来る所に服を預ける、といった案もございましょうが、何分経済的な事情もありそれも出来ないので、日常使いが気軽に出来る(つまり家庭用洗濯機で洗えて且つシワになりにくいイージーケアな)物でもし葬祭の場にも相応しいアイテムがあれば、それを是非ワードローブに加えたいと考えおります。

なのでもしそのような物がUNIQLO、GU価格程度で存在するならば具体的にコレ!といくつか教えて頂きたいです。 よろしくお願い致します。

ありがとうございます。

このコーナーは「マナー講師が語る冠婚葬祭の厳粛ルール」などではありませんので、きちんと現代の実情に則したものを解説させていただきます。

アクティブスーツは厳禁!

まず多くの葬祭に関する知恵袋的サイトで「スーツは絶対NG! 礼服を買いなさい!」とありますが、はっきり言ってスーツで行っても誰も気づきません。その意味ではスーツで葬祭に行くことはNGではありません。……というか皆さんお葬式に参列して「うわあ……あの人スーツで着てるよ……」と思ったこと、一度でもありますか? 知恵袋的なサイトは、杓子定規な語り口で現実から乖離している解説も多いので注意が必要です。

もちろん、質問者さんがおっしゃる様に例えばユニクロの「コンフォートジャケット」や「ウールブレンドジャケット」などは厳禁です。さすがにおかしいでしょう。


※参考「コンフォートジャケット」


※参考「ウールブレンドジャケット」

コンフォートジャケットは誰がどう見てもスウェット調の風合いだし、シルエットもお尻が出るような短丈だし、カジュアルスーツであることがバレバレです。ウールブレンドに関してはもってのほか、ニット素材ですからカーディガン的です。どこからどう見ても礼服には見えないでしょう。同じように柄の入ったスーツ、色の入ったスーツも礼服のマナーに反している上、普通の人にも「バレる」ので厳禁です。

ただし黒のスーツであれば、そこまで違いはわかりません。厳密に言えば、礼服と色味が異なる(スーツはドレスウェアなので光沢がある黒になっているけれど、葬祭で使う礼服は光沢を消したものが多い)のですが、ここに気がつく人はほとんどいない。さらに気がついたとしても「まあスーツだしな」と誰も失礼だとは思わないでしょう。まあ「頑固なスーツじいちゃん」でも親族にいれば別ですが。

具体的なアイテムで言えば……

オススメアイテム


BRAND:UNIQLO
ITEM:ストレッチウールジャケット
PRICE:7,990円


BRAND:UNIQLO
ITEM:ストレッチウールスリムフィットパンツ
PRICE:3,990円

ユニクロでもこのあたりならば礼服として使えるでしょう。もちろん正しい礼服ではないのですが、その分日常着としても使えるし仕事着としても使えます。質問者さんの願いを叶えるのはこのあたりかと思います。

繰り返しになりますが、一般的な「アクティブスーツ」の類は礼服として使わないでください。スウェット素材だったり水を弾くような化学繊維だったりはさすがに礼服としてはカジュアルすぎるし、風合いでバレてしまいます。選ぶなら一般的なスーツです。ユニクロならコンフォートなどの類ではなく、きちんとスーツとしてパッドがあり芯がありウール素材のものを選ぶと良いでしょう。ニットジャケットなどは論外です。あくまで礼服に擬態できるもの、を選んでください。

革靴はストレートチップの内羽根がルール……だけど

ついでに靴についても解説しますが、礼服に合わせる靴は「革靴であればなんでもいい」わけではありません。礼服の正しい靴選びはストレートチップの内羽根です。


※参考画像「ストレートチップの内羽根」

ストレートチップとはトゥ(つま先)部分に真一に線が入ったもの。装飾性の高いウイングチップや、シンプルすぎるローファーなどは本来ダメです。また内羽根とは紐を結ぶパーツ(羽根)が外側ではなく内側にあるものを指します。


※参考画像「外羽根」

これがルールではありますが、まあ近頃はそこまでうるさくありません。別にストレートチップじゃなくても外羽根でも怒られることもないし、「こやつ失礼なヤツじゃ!」なんて思われることもないでしょう。

ただし、 ・ローファーやオペラシューズなどの紐でない革靴、 ・ウイングチップなどの装飾性の高い革靴、 これらは絶対に避けましょう。さすがにカジュアルすぎます。


※参考画像「ローファー」


※参考画像「ウイングチップ」

靴は紐があるものが正装の最低限度のルールです。内羽根などは気づかない人も多いし、実際葬式の場では普通に使う人もいます。合皮か本革かも関係ありません。ただし紐のあるなしは目につきやすいし、「簡易的な平服としての印象」が強すぎます。目立つ位置だけにこのくらいは意識しましょう。装飾性の高いウイングチップなどは言わずもがなです。ストレートチップやプレーントゥなど、シンプルな革製の紐履を選びましょう。

オススメアイテム


BRAND:GU
ITEM:アクティブスマートダービーシューズ
PRICE:2,990円

このあたりの靴でもまあOKです。”正しい”正装ではないですが、文句を言う人も違和感を覚える人もほぼいないはずです。

ネクタイとシャツなどは特に言及せずとも大丈夫ですね。まさか葬式に派手なチェックシャツを着る人はいないと思うし、黒以外のネクタイを選ぶ人もいないでしょう。この辺は常識を守ればOKです。

レンタルサービスも選択肢に入れてみよう

ちなみにですが、礼服はレンタルサービスもあります。人生の中でも葬式に参列する機会は限られているはず。20代か30代であれば、ほとんどの人は5年に1度くらいではないでしょうか。無論できれば機会がない方が喜ばしいですが。

そんな数少ない機会のためにあれこれと揃えるのもなんだか勿体無い、そんな風に思う人は案外多い様で、レンタルサービスは一般化されています。即日配送のサービスが多く、急な依頼にも答えてくれます(当たり前といえば当たり前ですが)。値段もまあ数千円くらいとそれなりに安いので、これも選択肢の一つとして考えても良いでしょう。

葬祭とは故人を送り出す最後の場

葬祭とは故人と現世を結ぶ最後の場所であり、お別れの儀式です。これを境に現世から送り出す意味があるわけで、そこに厳粛性を求めるのはある意味当然のことだと思います。その人においてある意味最後の舞台です。大事に思う人であればあるほど、後悔のない様に迎えたい日だとも思います。私は昨年父の葬祭に参列して心からこれを思いました。

経済合理性を考えるのも理解できますしその通りだと思います。礼服のルールが面倒くさいと思う人ももしかしたらいるかもしれません。

しかしながら、最後を迎えた人のために、礼儀を持って尊ぶことを「着こなし」としても表現する……それを無駄なこととは思えません。

誤解しないで頂きたいのは、経済合理性を意識するなと言ってるのではないし、礼服のルールを完璧に守れと言ってるわけでもありません。ただ一点、「亡くなった人のこと」をきちんと頭に浮かべてその日の着こなしを決めてみてください。

ああ、この人はこんな人生を送ってきたんだな この人のおかげで自分はこうした経験ができたんだな どんなに幸せだったのだろう、どんなに辛かったのだろう

そうした故人への想いを募らせるほどに、きっとあなたの着こなしは正しいものになっていくはずです。着こなしとは人と人との思いやりを表すものです。相手にとってどんな着こなしがふさわしいだろう、相手にとって何が嬉しく思うのだろう、と考えて着こなしは洗練されていきます。

葬祭とは故人との対話であるはずです。故人を思えば思うほど常識はずれな着こなしにはならないはずです。上に書いたのは一つの参考例ですが、ぜひ原点に戻って意識してみてください。そこに本当の意味でのTPOがあるはずです。最低限度の着こなしは上で示した通りです、あとは故人を思い浮かべながら袖を通しててみてください。きっとより後悔のない送り出しができるはずですよ。


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