※春画には性描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。
紗久楽先生のおすすめ春画、その1
溝口彰子(以下、溝口) 今日は特別に、紗久楽さんおすすめの春画を何点か見せていただきます。最初に断っておくと、性器や男性同士のカラミが描かれています! 見たくない方はご注意くださいませ。では、お願いします。
柳川重信『天の浮橋』
(文字をクリックすると画像が表示されます)
紗久楽さわ(以下、紗久楽) まず、柳川重信さんの描いた『天の浮橋』という男色図です。
溝口 下になってる子が、女の人みたいにも見えますよね。
紗久楽 下の子は陰間です。これは江戸後期の絵で、この時期の陰間ちゃんは、女の子とほとんど髪型や服装が一緒だということがよくわかる一枚です。江戸時代の成年男子なら、ふつう髪型は月代(さかやき)ですが、この陰間にはそれがありません。そして、相手はお坊さんです。彼らは公儀上、女性と交わってはいけないので、陰間茶屋に通っているんですね。お顔は結構カッコいいんですが、眉毛がヘンで、好色な感じが出ていますね。
雲田はるこ(以下、雲田) (笑)。じゃあ、お坊さんとのカラミで描かれているのは、女性でなくみんな陰間、となるんですね?
紗久楽 女色に溺れるお坊さんもいますから、そういう題材ならわかりませんが、ぱっと見「お坊さんと女の人」の図でも、局部をチェックすると「陰間だ」となります。
雲田 ほんとだ。ちょっと入ってますね。
紗久楽 この絵は個人のセクシュアリティというか、このお坊さんは好きで通っているのだろうなというところがいいですね。陰間ちゃんの足でまで抱え込んでのしがみつき方もなかなか……。
雲田 もう、顔が物語っていますね(笑)。
溝口 (笑)。紗久楽さんは、描かれている人が好きで行為をしているのかに加えて、描き手が男色を好きで描いているかどうかもわかるということでしたね。
紗久楽 そうそう、たくさん見て、だんだん見慣れてくるとわかるようになるんです。
紗久楽先生のおすすめ春画、その2
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