「テレビ局が私をおとしめるために……」
政治家が「発言の一部を切り取られて報道された」と取り急ぎ述べることで自分の問題発言を薄めてみるのって、もはやお家芸と化している。首相時代の衆議院選挙の演説で、「無党派層は投票に行かずに寝ていてくれたらいい」と述べた森喜朗が、あとになって、あれは一部を切り取られたものだ、と主張しているので、耳を傾けてみよう。
発言した映像を振り返りながら、「私は『寝ていてくれたらいい』に続けて、きちんと『でも、そうはいかない。そんなことは現実にはありえない』と言っています。テレビ局がオン・エアに際し、私をおとしめるために……(以下略)」(森喜朗『遺書 東京五輪への覚悟』)とある。いや、別に「私たちを寝かせたままにして、選挙に行かせようとしない森はヒドい!」とマジで思っているわけではなく、有権者を軽視する態度を問題にしたに決まっている。発言は2000年、書籍刊行は2017年、17年越しの満を持した言い訳のピントが、豪快にズレているのだった。私たちは、この感じを「いかにも森さんらしい」と受け止め続けてきた。
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