なんでまだ東京にいるの? という質問への答え
—— 8月15日に発売されたライブDVD「ザ・ベスト盤ライブ 〜2011.10.7」の特典映像として、「東京ドリーム」という新曲のショートフィルムが収録されています。順番としては歌のほうが先ですよね。今回のエッセイ集のタイトルにもなった「東京ドリーム」という言葉はどこから出てきたのですか。
Cocco ははは。それは“東京ドーム”の近くの病院に入院してたからかな。「東京ドリーム」という歌が病院のベッドの上で最初に出てきて、なんで「東京ドリーム」なの? っていうことになって、しばらくして“東京ドーム”の近くにいたからじゃないの? みたいな(笑)。歌っていうのは本当にえげつないっていうか、「東京ドリーム」っていう歌があって、それがなんなのかを知るために、こんだけ文章書かなきゃいけなかったっていうことでもある。
—— 歌が一つの結論になっているということでしょうか。結論である歌が最初にあって、それを理解するためのエッセイがあるという。普通に考えれば、順番が逆のようにも思いますが。
Cocco 刑事コロンボ風。最初に犯人を決めちゃう、そして謎を解くという。歌はいつも最初にあって、なんでだろう? って考える努力が必要。お題を最初に出される感じかなあ。
—— この2013年に「東京ドリーム」という歌を歌い、「東京ドリーム」という1冊のエッセイ集を書いたのは、Coccoさんの個人的な作業の結果ではありますが、それらが不特定多数の人に向けてリリースされることにはまた違った意味があると思います。東京はたとえばCoccoさんが上京した18年くらい前と比べて、ドリームを抱きにくい街になっていきていますよね。東京という街がどういう街なのか、そしてそこで生きることにどのような意味があるのかを改めて考え直すというのは、大切なことだと思います。
Cocco まあ、その分、地方が活性化したといういいこともあるんだろうけどね。でもネオヒルズ族だっけ? たとえばバブルのときにそういう人を見たら、うらやましいなと思ったかもしれないけれども、今、ネオヒルズ族を見てうらやましいなと思う人はいないよね。何この人? みたいな。それよりは、田舎でロハス生活を送っている人のほうがまだ憧れの対象になりやすい。
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