成務(せいむ)天皇とタケウチノスクネ
ワカタラシヒコ(稚足彦天皇=第十三代成務※せいむ天皇)は、第十二代景行(けいこう)天皇の皇子で、母はヤサカノイリビメです。
天皇はタケウチノスクネを大臣に起用しました。天皇は、生まれた日が同じタケウチノスクネを、ことに寵愛しました。天皇は、
「父である先帝の景行天皇は、聡明で武勇に優れ、万民を従わせていた。自分は皇位を継いで、朝となく夜となく道に外れていないかと恐れ慎んでいるが、民は虫の蠢うごめくように暴れて手なずけることができない。これは、国や郡に長となる者がいないからであろう」
と言って、山や川を境界として各国を定め、道に従って町や村を区分して、中央から地方に首長を派遣しました。それで、民は安心して暮らし天下泰平でした。
四十八年三月一日、甥に当たるタラシナカツヒコ(足仲彦尊=第十四代仲哀※ちゅうあい天皇)を立てて皇太子としました。
六十年六月十一日、成務天皇は亡くなりました。百七歳でした。