恋とか愛とか社会運動とか

自意識が邪魔をして、彼氏に甘えられない!

桃山商事の3人と社会学者の富永京子さんが「恋愛×社会運動」というテーマで語る短期集中連載、第4回目です。今回の話題は、「わがままの一貫性」。ほころびの無い人など滅多にいないのに、普段の主張と行動の矛盾は、厳しく批判されがちです。一貫性を保とうとしすぎることのデメリットを、富永さんが指摘します。『みんなの「わがまま」入門』の試し読みとあわせてお楽しみください。

【登場人物】

富永京子
立命館大学産業社会学部准教授
1986年生まれの社会学者

清田隆之
桃山商事・代表
1980年生まれの文筆業

森田雄飛
桃山商事・専務
同じく1980年生まれの会社員

ワッコ
桃山商事・係長
1987年生まれの会社員

清田家のプリンター問題

清田 前回から引き続き、「恋愛とわがまま」について、社会運動の研究者である富永京子さんと語っていきます!

富永 よろしくお願いします。

森田 今日は「わがままの一貫性」に関するエピソードを取り上げてみたいと思ってます。

ワッコ 「主張や態度が一貫してなくて、矛盾してるじゃん!」みたいな問題ですよね。

清田 それでいうと、我が家で勃発したプリンター問題というのがありまして……。『モテとか愛され以外の恋愛のすべて』の「ケンカの火種」という章でも紹介した話なんですけど。

森田 「ケンカの火種」では、ケンカそのものではなく、ケンカのきっかけとなった些細なエピソードを中心に紹介しました。清田家のプリンター問題はキング・オブ・些細な話だよね(笑)。

清田 僕はフリーランスのライターなので、自宅で仕事をすることが多いんです。フリーになってもう10年弱になるんですけど、少し前にプリンターを導入したんです。

富永 えっ!? それまではどうしてたんですか?

清田 原稿を刷り出して確認したいときは、いちいち近所のセブンイレブンまで行ってプリントアウトしてました。プリンターが来てからはPCのショートカットキーを押すだけになったからすごく便利で重宝してます。

森田 今どき、ただのプリンターをそこまでありがたがる人はなかなかいないと思うよ。

清田 妻も家で仕事することがあるからちょくちょく使うんだけど、ひとつ問題があって、彼女は使った後に毎回電源を落としてコンセントを抜くんです。待機電力が無駄になるのがイヤみたいで。

ワッコ エコだなぁ。

清田 ただ、そうすると僕がワンタッチでプリントアウトししようとショートカットキーを押しても、スンッて感じで動かないんですね。それで何度か試したりするんですけど。

富永 次に電源入れたときにガーって出るやつだ(笑)。

清田 常時接続派の僕は、動かない度にイラっとしちゃうんです。でも妻にはエコという正義があるから、反論できない。一方で、僕も基本的に「反原発」という立場で、普段は「大量消費や利便性には安易に走らない方がいい」とか話してるんですね。

森田 清田はそういうところを結構はっきりと表明してるよね。

清田 にも関わらず「プリンターくらいいいでしょ?」と、どこかで考えている。その矛盾に自分で気づいてもいるから、妻とプリンター問題について言い争いになっても言い返せずにモヤモヤしてしていました。最近Twitterで、ある人に「実は付けっ放しの方が消費電力がおさえられんですよ」と教えてもらったりもしたんですけど。

富永 エアコンとかでよく言われることですよね。

ワッコ 立ち上がりに一番電力を食うっていう。

清田 俺も「自分に都合のいいロジックいただきました!」みたいに思ったけど、これを言ったらまたケンカになりそうだなと思って、伝えるのは控えてます。

森田 実際にどちらが省エネなのかというのは重要なことだけど、ケンカの根っこにあるのは、「エコを一貫するのか、ちょっとくらいなら非エコでも利便性を追求するのか」という対立だよね。

清田 そう、思想対立なのよ。

反グローバリズム運動からのアフタヌーンティー

富永 今の話もある意味、社会運動の話に近いところがあるな思いました。首尾一貫性のなさって、相手からすると一番突きやすい部分なんですよね。私もそこを突かれた経験があります。

ワッコ 何があったんですか!?

富永 以前、政治経済のグローバル化に反対する反グローバリズム運動を調査の対象にしていたんです。それで新宿近辺で行われた、とあるデモに調査に行ったのですが、デモってすごく長い時間やるから疲れてしまって……途中でちょっと抜けて、パークハイアットでお茶をしたんです。

森田 反グローバリズムからのアフタヌーンティー!

清田 何かすごく矛盾してる感じはしますね(笑)。

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恋とか愛とか社会運動とか

富永京子 /森田雄飛(桃山商事) /清田隆之(桃山商事) /ワッコ(桃山商事)

恋バナ収集ユニット・桃山商事の3人と、『みんなの「わがまま」入門』の著者であり社会学者の富永京子さんによる短期集中連載がスタート!「恋愛×社会運動」というちょっと変わった切り口でワイワイ語らっていきます。 同時公開の『みんなの「わがま...もっと読む

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gekko_mo プリンターの電源を逐一切るかどうかがすでに思想対立、わかる。 何かに強い思いなりこだわりがあるほど、小さな矛盾や違和感の底にちらつく根本的な考え方の差が気になって不安になるんだろう。 https://t.co/A9pe6FpIJb 約1ヶ月前 replyretweetfavorite