儲かる農業2019

物流危機に勝つ! 共同配送バスが快走中

物流コストの高騰が、中小農家の経営を苦しめる死活問題となっている。農業分野の中でも、稼ぐハードルが高そうな「物流」に商機を見いだした起業家がいる。

農家が適正な利益を得られるやさいバス。静岡モデルは、長野県や神奈川県横浜市にも広がる予定

 静岡県で共同配送サービス「やさいバス」を手掛ける加藤百合子エムスクエア・ラボ社長がそうだ。

 才女である。東京大学農学部を卒業後に、英国留学。米航空宇宙局(NASA)の植物工場プロジェクトに参画したこともある。プログラミングもできる経営者だ。

 農業一色の学生時代だったが、結婚を機に静岡へ移住。産業機械メーカーでロボットの開発リーダーをしていた。それでも、農業で起業する夢は捨て切れなかった。

 きっかけは、静岡大学で受けた農業講座だ。受講生は農家ばかり。身を置く製造業は、機密保持契約の覚書を交わし、顧客ときっちり打ち合わせをして製品を作り込んでいく世界。一方の農業業界には、農家が理不尽な目に遭う商習慣が残されていた。

 「顧客である小売りチェーンごとにトレーサビリティーの確保を求められ、物流コストや資材費の上昇分を負担させられる。そこまでしても、雨が降ったら『今日は(来店客が少ないから)野菜は持ってこなくていいよ』と口約束がほごにされてしまう」(加藤社長)

 農業機械については詳しいが、農業ビジネスに関しては門外漢。それでも、「理不尽な農業を変えたい。開け、日本の農業! って思いました」(同)。

プログラミングもできる加藤百合子エムスクエア・ラボ社長。
結婚を機に静岡へ移住し、2009年に起業。Photo by F.A.

 2009年、ITを使った農業ビジネスをフィールドに起業した。加藤社長の問題意識は、生産者にしわ寄せが及ぶ流通構造を変革することにあった。

 では、エムスクエア・ラボのやさいバスは、どんなビジネスモデルなのか。その仕組みこそシンプルなのだが、そこかしこに稼ぐ仕掛けがちりばめられている。

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農業はテクノロジーで激変する。新時代の生産・流通革命に柔軟に対応できる農家だけが「儲かる農業」を実現できる。パートナーや事業を機動的に組み替えられる小規模農家にこそ勝機はある。 ダイヤモンド編集部・千本木啓文、浅島亮子、重石岳史/デー...もっと読む

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