背景にあるのは、絶大な権力を握ってきたJAグループの弱体化だ。
農政改革は事実上、骨抜きとなった。政治的な圧力が弱まったことで、JAの組織内部では守旧派が息を吹き返している。だが、農業振興(農産物の販売、農業資材の購買)という本分を忘れたJAに、かつての神通力はない。
むしろ、JAに依存し続けるリスクを敏感に感じ取っているのは、他ならぬJA組合員であろう。とりわけ、30~40代の中堅層を中心に、独自の販路を開拓するなど組合員の離反が始まっている。
表立ってJAに反旗を翻すことを控えてきた企業の姿勢も、明らかに変わってきた。農業ベンチャーのマイファームが、JAの既得権益を奪いかねない「オンライン卸売市場の創設」を公言しているのもその一例だ。
それぐらい、日本の農業が危機的状況に追い込まれている(『衰退まっしぐら「平成の農業」』参照)。日本の劣勢をはね返そうと立ち上がった変革者は二つのタイプに大別される。
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