早ければ3月初めに、農作物流通を一変させるサービスが立ち上がる。農業ベンチャーのマイファームが、オンライン卸売市場の「ラクーザ」を創設するのだ。
ラクーザは、インターネット上で農家が出品した農作物を買い手(スーパーや飲食店)が入札で競り落とす仕組み。何といっても、農家が自由に値決めできる点が新しい。既存の規格や出荷ロットにとらわれず、農家自身が小売りや外食チェーンのバイヤーと直接、価格交渉ができる。
西辻一真・マイファーム社長は、「農家がきちんと適正な利益を得られる価格で出品し、良質な農産物ならば競り方式で価格が上がっていく。取扱量が増えてラクーザの相場ができれば、“大田の相場”を壊せる」と言い切る。
大田市場(東京都大田区)といえば、青果物で取扱高日本一を誇る巨大市場だ。ラクーザの初年度目標は、流通総額10億円と控えめではある(農家と買い手を合わせた会員獲得数の目安は4000ユーザー)。だが、「いずれ卸売市場へ流れる農産物流通の全てを獲得していきたい」(西辻社長)と、静かな野心を燃やしている。
ラクーザのスタッフから説明を聞く岩立昌之さん(右)。農家が値決めできるサービス開始に興味津々だ
千葉県柏市の岩立ファーム(チンゲンサイがメーン)の岩立昌之さん(38歳)は、サービス立ち上げに興味津々だ。デジタルネーティブ世代なので、スマートフォン操作にも抵抗がない。
「この20年間、どんなに資材費や物流費が上がっても、その上昇分が出荷価格に転嫁されたことはなかった。値決めをできるラクーザは魅力的だ」(岩立さん)
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