野蛮人の読書術

第4回】書評を書くことが最高の読書術である

せっかく苦労して読み切った本の、内容が思い出せないことってありますよね。そんなあなた(と私)に田村さんが贈るアドバイスは……「書評を書け!」。そして今回のオススメ本は『ジャンル別 洋書ベスト500』。久しく小説を読んでいない田村さんが、本書につられて思わず買ってしまった名作とは? 好評連載第4回です。

書評を書くことが最高の読書術である

「書評」を書いて、それをネット上などに公開する癖をつけておくことは最高の読書術である。私の場合、有料メルマガで定期的に推薦図書を挙げている。また、この連載でも毎回1冊、書評を掲載させてもらっている。書評を書く前提に立つと、読書で得られるものは実に大きい。
 
 備忘録的な閉じた日記のようなものでも構わないが、一般公開するものであればさらにいい。書評を公開する目的は、読んで得たものや、読むポイント、そして読む価値の有無を、その本の潜在読者に知らせることにある。実際にやってみるとわかるのだが、自分が書いた文章がツイッターやフェイスブックなどを通じてシェア(共有・拡散)されていくのは快感である。この快感を知ると、他人にシェアしてもらいやすいように、ポイントを的確にまとめ、わかりやすく書くことを心がけるようになる。

 また、書評を公開すれば多くの人の目に留まる。すでにその本を読んだ人や、ひょっとしたら著者本人からも、さまざまな意見や反論、ツッコミが来るかもしれない。したがって、書くときの緊張感も高まる。

 付き合いのある編集者によると、いい著者ほど自著についてのあらゆる書評を丁寧に読むという。消費者ニーズを知り、学びにして次に備えるのだろう。私はたいした書き手ではないが、この心理は共感できる。ちなみに私も、自分の著書については、うれしい書評も憤慨したくなるような書評もしっかり読んでいる。突っ込みたい気持ちになることも正直ある。

 シェアされやすい書き方をしようという心がけと、読者の反応を気にするプレッシャーが、あなたの書評をさらによいものにしてくれる。そして、公開した後のさまざまな反応や、そうした他者とのやりとりが、時としてその本をさらに深く読み直すきっかけになる。こうしたことが、読書で得たものをさらに脳の奥深くに固定してくれるのだ。

 しっかり読み込みたい本、信用できる人から紹介された本、手ごわい本ほど、書評を書くことを想定して読み始めてはいかがだろうか?

書評のポイントは「実名」であること!

 当たり前すぎることなので、いまさら強調するのもどうかと思うが、評論は実名でやらないと意味がない。書評も、もちろん実名でやるべきだ。実名で世に問うプレッシャーが評論を鍛え、最低限の責任感とマナーを要求するのだ。実績のある人ほど、責任のない発言に付き合う意義はないと考えている。自分のタイムコストをわかっているからだ。
 
 私自身の巷の書評の活かし方について述べたい。まず、匿名のものは信用しない。繰り返しになるが、匿名の評論に説得力なし、というのが私の持論だ。

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野蛮人の読書術

田村耕太郎

「現代を生き抜く術」、それは読書である――。国会議員、ビジネスマン、研究者など、さまざまな顔を持ちながら世界の第一線で戦い続けてきた著者による、多忙(かつ怠惰)なビジネスパーソンのための読書術指南。(トップページ著者写真:疋田千里)

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コメント

YukariWatanabe みなさん、読んでくださいね! 5年弱前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe 『洋書ベスト500』をこんなに素敵に活用していただけるとは!感激。 5年弱前 replyretweetfavorite

kotarotamura 出ました! 5年弱前 replyretweetfavorite