第4章 「自分の弱さ」から学べるこれだけのこと
どんなに嫌でも自分と向き合うことには価値がある
イヤな気分になったとき、「これは成長のチャンスだ」と思えるかどうか。
学べる人になるには、そこが肝だと思います。
うつや燃え尽き症候群を繰り返す人というのは、そういう向き合い方をしていないのです。苦しいから薬と休養でなんとかその時間をやり過ごして、そうすると身体だけは回復したような感じになって落ち着く人は落ち着くのですが、また同じ状況になると、前と同じように苦しくなります。
でも、この落ち込みをチャンスだととらえる、この仕組みがわかった人は再燃することが少ないのです。
イヤな気分に襲われると、自分が壊れてしまったような感じや、弱くなった感じがしてきます。それが続くと「ずっと自分はそうだったのではないか」という妄想にとらわれてしまうのです。
そこに焦点を当てるのではなく、
◦なぜこんなにイヤな気分になるのか
◦なぜこんなに落ち込んでいるのか
◦これは何が原因なのか
◦誰との関係でこういうふうになっているのか
そういうところに目を向けて、「学べるチャンスだ」というふうに考えていくと、「ほかの見方、考え方はないのか?」という思考になっていきます。
この「なぜ」「どうして」「どこから」「ほかに自分のプラスになる考え方はないかな」という思考パターンを作って、それをクセにしていくとすごく楽になります。
「イヤな気分やイライラ」イコール「学び時」であり、「学び時ということは、もっと成長できるときだ」というふうに、発想が上に向かっていくからです。
いきなり前向きになれなくても大丈夫
ただ、イヤな気分に襲われたとき、いきなり「冷静に、前向きにならなければ」と思ってもそれはムリなのです。
私自身、これまでずっと向き合うことをしてきて、気持ちが切り替わるまでは時間がかかります。ただ、今はよほどのことがあっても2、3日グズグズしたら変わっていけると思っています。
つい最近も、「やってしまった」と思うことがありました。
心の教室相談員をしていた中学で、生徒のことで疲れ切っていたときです。体調が悪くてイライラしていて、たぶん、「わかってほしい」とか、「大変でしたね」の一言、「癒いやし」を求めていたように思います。
それで、ある人に、仕事の報告という形で「こうでしたよ」と話をしたのです。そうしたら、「私にはそんなこと、言っていませんでしたよ」、そのひと言で終わりでした。自分が知っている情報以上のことをほかの専門家が知っているとすごくナーバスになるというか、イライラしてしまう人なのです。
その人の特徴は客観的にわかっていたはずなのに、何度も何度も痛い思いをしているはずなのに……。「ああ、教えることなかったな。嫌な思いをするだけだったな」と思いました。
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