人間関係が変わるのも当たり前

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』をcakesで特別連載!(毎週火曜更新)

人間関係が変わるのも当たり前

 うつになってそれがまわりの人にもわかると、人間関係も変わっていきます。人間は、弱い人を見ると優越感を抱く生き物なのです。
 だから、うつになって元気がなくなったときには、まわりの人も少し傲慢になったりするものです。「あの人は弱い、私は強い」みたいな感覚です。
 また、自分のせいでうつの人を悪化させてしまわないかと不安になるので、刺激しないように気をつけたりもします。
 私が以前仲良くしていた自衛隊の同期もそうでした。その同期は後輩に対して高圧的で、指導、指導とやっていたのですが、私が退院して帰ってきたときに、「おまえと同期なのが恥ずかしい。おまえなんか同期じゃない」みたいなことを言ったのです。
 なんてヤツだと思いました。人間、弱いときは弱いのだから、それを責めてもしかたないのです。弱いからこそ学べるわけですし。
 逆に言うと、これはうつになった本人が何か悪いことをしたわけではなく、まわりが傲慢になったり不安になったりしているだけの話なのです。
 人間は変化を感じる生き物で、それに応じて行動を変えなければ生きていけないので、それはそれでしかたありません。もともとそんなものです。まわりの人たちも悪くないのです。
 あなたはただ、今のあなたができることをする。それでいいのではないでしょうか。

うつとつきあいながら生きる人たち

 私のうつが完璧に治っているかといったら、そうではありません。今でもうつ気質はあると思っています。
 毎年、冬期うつ(ウインター・ブルー)になるのです。そのときに、「あっ、そういえば去年もこのことをブログに書いたな。またこの時期がやってきたんだな」と気づき、「今はこういう時期だから、ゆっくりしよう」と思ったりします。
 考え方のクセも関係するので、私も含めて、燃え尽きる人は何回も燃え尽きたりします。でも、そういうときは、「私ってそれだけ頑張る人なんだ、一生懸命の人なんだ」と、自分で自分を認めるようにしています。
 ここで紹介する人たちもみんな、うつから完全に脱出したというよりは、自分の中のうつ気質、イヤな気分とつきあいながら生きている人たちです。
 なお、事例に記載してある年齢は当時のものです。

Aさん(女性、30代)の場合

 Aさんは公務員で、現在休職中です。
 最初は「なぜ私が薬を飲まないといけないの? 私はただ単に認めてほしいだけなのよ」と言い続けていましたが、今では自分の現状を認めています。
 最終的には仕事を続けるのか、それとも自分なりに働ける仕事を別に見つけるかはわかりませんが、とにかくやりたいことがいっぱいある人です。
 それだけ、充実したものを求めているわけですね。
 自分はできると思うから、あれもしたい、これもしたい。でも、現実にはできていない自分がいて、そのギャップですごく苦しくなってしまうのが一番の問題です。
 だから、お医者さんと一緒に「やりたいことを全部やってください」とすすめました。でも本人は自分で行動を起こせないので、「やりたいことを全部書き出して、できる順番をつけていきましょう。その中で一番からやってみましょう。今はPTAと家事だけでいいでしょう」という感じでアドバイスしています。
「必ず、やりたいことをいっぺんにはできないとあきらめがつく時期がやってくるからね」と言っていたら、本人も「あきらめがつきそうだ」と言うようになりました。やっと、何かわかってきた気がするとのこと。
 カウンセリングもまだまだ必要ですが、毎日その日を振り返って記入してもらうフォーマットを渡して、コメントを書き、主治医にもそれを見て分析してもらい、Aさん本人にそれを眺めてもらうという作業をやっています。
 新しい視点を得るには、自分で感じてひらめくしかありません。自分で摑み取るしかないのです。私はそれができるのを信じて「大丈夫」と言うしかないですが、Aさんは日々、すごく頑張って自分と向き合ってくれています。

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イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ

玉川真里

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。『イヤな気分をパッと手放す「自分思考」のすすめ』をcak...もっと読む

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