第12回】東南アジアとアメリカ東海岸のハイブリッド!? 今年シンガポールに生まれた理想のカレッジ「Yale-NUS」を視察してきた

今後多様な人材を輩出しそうな理想のカレッジに、アジアの中心地で出会った。今年開学したばかりの「Yale-NUSカレッジ」である。300年を超える歴史を誇り、5人のアメリカ大統領を生んだアメリカの名門・エール大学と、今やアジアNo.1といわれる総合大学・国立シンガポール大学がタッグを組んで生まれた、新しいリベラルアーツカレッジを先日、この目で見てきた。


Yale-NUSカレッジのキャンパス内 (筆者撮影)

現代の賢人はシンガポールに住むべき!?

今後多様な人材を輩出しそうな理想のカレッジに、アジアの中心地で出会った。今年開学したばかりの「Yale-NUSカレッジ」である。300年を超える歴史を誇り、5人のアメリカ大統領を生んだアメリカの名門・エール大学と、今やアジアNo.1といわれる総合大学・国立シンガポール大学がタッグを組んで生まれた、新しいリベラルアーツカレッジを先日、この目で見てきた。

2007年にニューヨークからシンガポールに居を移した高名な投資家兼作家ジム・ロジャースは、「あなたが1807年に賢明だったらロンドンに住むべきであった。あなたが1907年に賢明であったらNYに住むことを選ぶべきであった。もしあなたが2007年に賢明であったら、シンガポールに住むべきだろう」と語った。このジム・ロジャース氏もエール大の卒業生だ。

前日にシンガポール大学関係者に視察希望を打診したというショートノーティスにもかかわらず、シンガポール大学リークワンユー公共政策大学院のキショー・マブバニ学長のお嬢さん、シェイラ・マブバニさんが案内してくれた。彼女は2年前にエール大学を卒業し、今はこのカレッジのアドミッションオフィサーをやっている。

彼女はこのカレッジで働くに最適な人物である。シンガポール政府の国連大使を長く務めたお父さんの影響でNY暮らしが長かった彼女は、人生の半分をシンガポールとアメリカ東海岸で過ごした。このカレッジと同じ、東南アジアとアメリカ東海岸のハイブリッドである。そんな彼女の大学受験はエール大学一本だったそうだ。

「早期出願で合格していたからですよ」と謙遜するが、この一途さは潔い。彼女曰く「学部生を大切に扱ってくれるのはエールだと思いました。だからエールに落ちたら同じく学部生を大切にしてくれるブラウンを考えていました。悪いけど、エールのライバルといわれるハーバードは考えませんでした。これは私見ですが、ハーバードはどちらかというと大学院を大切にしている大学だと思います。ロースクールやビジネススクールに行くならいいでしょうけど」ということだ。

本家エールよりきめ細やかな指導


案内してくれたシェイラ・マブマニさん

「あと、卒業生・在校生を問わず母校愛も違うように思います。エールの卒業生はほぼ100%がエール愛を持っています。もちろんハーバードにもそういう人はいるけど、『本当にハーバードでよかったのかな?』という人もけっこういて、エールとはちょっと違うと感じます」とも言っていた。

その"エール愛"を持つ彼女も「私から見ても、ここ(Yale-NUS)はエール大学より学生を大切にしていると言えます。ここで働いていて、うらやましく思うくらいです。だってエール大学は一学年に1400人くらの学生がいるけど、ここは一学年155人しかいません。学生一人あたりのケアは比較にならないほど濃密です。私の時代にこれがあったら・・・」と続けた。

今年開学したばかりなのでまだ一年生しかいないが、シェイラのような学校側の人間も学生も、お互いの顔と名前を明確に覚えている。視察に来た私を連れて歩く彼女に学生たちが次々に挨拶してきて、シェイラも名前を呼びながらそれに答えていた。

「合格率もエールやハーバードより低い3%以下。大々的に宣伝していないのに国内外から願書が殺到しました」という。アドミッションオフィサーである彼女は「合格する権利がある受験生は実際の合格者の何倍もいました。その人たちを選別するのがとても難しかった」と振り返る。

現役の学生も紹介してもらったが、皆自信満々で楽しそうだ。その一人は「ちょうどアメリカの大学に進学しようと思っていた時にこの学校ができました。シンガポール人の私には、正直、アメリカのカレッジに行くよりも学費がかなりお得です。また、合格すれば第一期生になれるというのも魅力的でした。何事も第一号は名前が残ります。そして、なんといっても魅力的なのは本家アイビーリーグを上回る多様性です」と語っていた。

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田村耕太郎「シンガポール発 ASEAN6億人市場が世界を動かす!」

田村耕太郎

世界最高の高等教育を誇るアメリカをはじめ、シンガポール、インド、中国、ヨーロッパ、そして日本は、グローバルで戦うために、いかに「知」を鍛えているのか。各界で国際的に活躍する人材は、どうやって自分を磨いているのか。各国の名門校で学び、世...もっと読む

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kotarotamura こちらも出ました。 約5年前 replyretweetfavorite